ごきげんさんに暮らすまち、尼ノ國

築城奉行日記

 一枚瓦記名会で尼ノ民に記名してもらっている平瓦をはじめ、尼崎城にはさまざまな種類の瓦が使われる予定じゃ。今回の日記は、その瓦の秘密に迫るツアーの様子を書き記そう。

「瓦見学ツアー 淡路島編でござる」


 三月二日は、「平瓦」などの制作現場を見学するため、南淡路市の井上瓦産業に向かった。平瓦は、尼崎城の中で最も多く使用される瓦じゃ。マイクロバスは、このツアーを楽しみにしておった参加者たちで満席じゃ!現地に向かう道中も、大変盛り上がっておった。


 制作現場では、粘土の状態からプレス成型、乾燥や焼成など、全ての工程を見学させてもらった。機械を使っての作業もあるが、最後の仕上げは職人の手仕事。膨大な数の瓦を、一枚一枚ていねいに完成させる様子には、職人魂を感じた。


 瓦見学のあとは、洲本城に向かった。日本最古の模擬天守など、参加者は興味津々。城の持つ魅力は、こんなにも人々を惹きつけるのであるな。ツアーの最後に参加者全員で寄せ書きをした平瓦には、「尼崎に春よ来い」「尼崎城に住みたい!」などのメッセージが書かれており、思わず笑ってしまった。
 
 参加者の加藤さんは、「尼崎城も、いずれは文化的な価値があるものになれば。城づくりを通して、尼崎城や尼崎市に関心を持つ人がたくさん増えればいいなと思った」と感想を話してくれた。

「瓦見学ツアー 大津編でござる」

 三月十日は、鬼瓦の制作現場を見学するツアーを開催した。今回も多くの民たちとともに出発!行き先は滋賀県大津市じゃ。


 美濃邊鬼瓦工房では、迫力満点のシャチ瓦がお出迎えじゃ。一度に成形すると重さでつぶれてしまうため、完成を想像しながら下から少しずつ積み上げるその技は、「鬼師」とも呼ばれる職人の腕の見せどころ。雄と雌のシャチ瓦があり、雄の方がやや大きいそうじゃ。


 焼成前後の鬼瓦を並べて見ると、まったく色が違うことに驚いた。季節や土の特性などを見極めて焼き上げることによって、瓦がより長持ちするそうだ。職人の技術の結晶が、いぶし銀に輝く瓦だというわけじゃ。


 午後からは、大津市歴史博物館の館長にご講義いただき、その後は膳所神社、緑心寺、膳所城跡公園といった戸田氏鉄公ゆかりの地を巡った。地元のボランティアガイドの方がとてもていねいに説明してくださり、こういったまちの人々の協力が、城を支えてくれるのだなと実感した。


 参加者の前島さんご夫妻は、「せっかくお城をつくるのだから、みんなが親しみを持って楽しめる場になってほしい。子どもたちも楽しめるようなお城になってほしいですね」と話してくださった。

 瓦職人の方々の仕事に対する誇りと、参加者のみなさんの尼崎城に対するアツいアツい想いを、ひしひしと感じた二つのツアー。城に使われる膨大な数の瓦の重さを支えているのは柱だけでなく、人々の気持ちなのではないだろうかと思える機会であった。



取材・文 尼ノ物書キ組

馬場之介

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