尼崎の自転車環境が激変?ますます自転車に乗りたくなるまちに

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写真、インタビューに答える生活安全課の職員

 なだらかな地形の尼崎では、もっとも身近で便利な移動手段でもある自転車。その反面、自転車には、交通事故、放置、盗難などの問題も目立っていました。しかし近頃、明らかに尼崎の駅前の放置自転車が減少しています。どうして、こんなに大きくまちが変化したのでしょうか? 自転車の交通事故防止などに取り組んでいる生活安全課の職員に話を聞きました。生活安全課は、自転車を通したまちづくりのプロジェクトチームの事務局でもあります。

2017年に「尼崎市自転車のまちづくり推進条例」ができたそうですが、どんな取り組みをしているのですか?


写真、「防災」、「防犯」と書かれた揃いのジャンパーを着る職員

自転車にまつわる課題は交通事故や放置、盗難などたくさんあったのですが、庁内11部署を横断するプロジェクトチームを立ち上げ、「課題解決」から「魅力創造」へ、自転車のまちづくりを進めるための新しい取り組みを始めました。

自転車事故を減らすための新たな取り組みとは?


写真、小学校区ごとに作られた自転車関連事故マップのチラシ

子どもたちに安全を考えてもらうきっかけづくり


子どもたちに身近な場所で事故が起こっていることを知ってもらうために、市内41全小学校区ごとに「自転車関連事故マップ」を作成しました。


小学校の自転車教室では、このマップと事故の写真を使って、事故の原因と対策を考えるグループワークを実施します。子どもたちは現地をよく知っているので、危険な交差点で気を付けるべきことなどについて話してくれます。また、そのマップを持ち帰って、近所の危険な場所についてご家族で話し合ってもらうよう、お願いしています。

地域住民に「自転車事故多発地域」を知ってもらうための呼びかけ


2019年からは、自転車事故対策の重点地区を決めて対策に取り組んでいます。2019年は竹谷小学校区を重点地区として、市職員が事故多発交差点に立って、交通ルールに違反しそうな自転車利用者に指導カードを渡して、注意を呼びかける活動も行っています。


このような取り組みに加えて、事故多発交差点を含む啓発パトロールや啓発チラシのポスティングなどを行い、身近な場所で事故が多発していることを地域住民に呼びかけました。その結果、同小学校区の自転車関連事故は前年同期比(令和元年11月末現在)で46%減少しました。これは、市全域の減少率(13%)と比較しても大幅に減少しています。

コミュニティサイクル実証実験の様子について教えてください。


写真、サイクルポートに停められた電動のレンタサイクル

2018年12月から2020年3月末まではコミュニティサイクルの実証実験中です。市内には自転車が借りられるサイクルポートが、現在は20箇所あり、借りたポートとは違う目的地近くのポートでも返すことができます。阪神、JR、阪急と3路線あって便利な尼崎ですが、南北移動の足として、コミュニティサイクルを有効に使ってもらいたいと思っています。 


専用アプリを登録すれば利用できます。料金は15分ごとに70円、12時間最大1,000円。サービスを開始以来、ポート数が増えてより便利になり、順調に利用者も増えています。市域を越えて利用できるサービスなので、市内だけでなく、サイクルポートがある大阪市や西宮市、豊中市など市外への足として、ビジネスやレジャーなどにどんどん利用してほしいです。


ユーザーの皆さんからは、「すべて電動でとてもラク!」、「片道利用は飲み会の予定があるときに便利!」、「子ども用や子ども乗せ用など車体のバリエーションが増えると嬉しい」といったご意見を頂いています。

自転車交通ルール徹底のために、商店街が立ち上がり「押しチャリンピック」というユニークなイベントも行なっているそうですね?


頭上にお皿に載せたピンポン玉を落とさないように自転車を押して歩くレース参加者

三和本通商店街の店主らが、自転車に乗った商店街での通行を禁止しているのに、ルールを守らない人が絶えないことから、「商店街は自転車を押して歩く」というルールを徹底させようと企画されています。「押しチャリンピック」では、頭上のピンポン球を落とさないよう美しい姿勢で自転車を押すことを競います。


ほかにも、コスプレパフォーマーとともに商店街で交通安全パレードを行うなど、楽しく参加してもらえるよう工夫しながら啓発を行っています。

尼崎市内での放置自転車が激減したそうですが、何か秘策があったのですか?特に武庫之荘駅前は、劇的な変化を遂げた印象があります。


左)駅前の放置禁止看板の横にずらりと並ぶ、放置自転車の列(2009年、武庫之荘駅南)

右)現在の武庫之荘駅南側(2019年、11月撮影)

駅前の放置自転車は長年の課題だったのですが、放置自転車対策担当課が講じた対策によって、大きく改善されました。駐輪場の管理・放置自転車の撤去・啓発・保管返還業務を一体的に委託し、柔軟な放置自転車対策に対応しました。


例えば、駐輪場に「空き」があることを、まさに路上に駐輪しようとする人にスタッフが声かけをするほか、効果的な撤去を行うなど地道な行動が功を奏しました。


また、民有地に駐輪場の設置を呼びかけ、駐輪場の数を増やせたことも放置自転車の台数減少に繋がったと考えています。


(放置自転車対策担当提供)

平日の放置自転車台数は平成26年度調査では、2,045台でしたが、令和元年度には158台となり、約92%という大幅な減少となりました。

自転車ポータルサイトでは、どんな情報を発信しているのですか?


写真、尼崎市自転車総合サイト「尼っ子リンリン」の携帯電話画面

2018年3月から、尼崎市自転車総合ポータルサイト「尼っ子リンリン」をオープンしています。特に力を入れているのは、「自転車ルール・チャレンジテスト」。初級、中級、上級と各10問の○×のテスト形式で、正しい交通ルールを理解しているかを確認できます。大人でも、意外と思い違いをしていることに気づくことも。子どもたちに正しい交通ルールを伝えるためにも、ぜひチャレンジしてほしいです。

 「尼っ子リンリン」の「尼リン☆ダイアリー」やツイッター「尼っ子リンリン」は、自転車のプロジェクトチームの事務局が新着情報をまめに更新していますよ。交通ルールから駐輪場マップ、コミュニティサイクル情報までの充実のラインナップ。ぜひ一度、サイトをチェックしてみて下さい。

尼っ子リンリン(市役所/外部リンク)


写真、インタビューを受ける職員の背中

写真、交通安全ルールパンフレット

写真、ポータルサイトの内容を伝えるチラシ

写真、インタビューを受ける二人の職員

写真、「自転車等放置禁止区域」を示す駅前看板

写真、三和本通商店街「押しチャリンピック」の様子