ごきげんさんに暮らすまち、尼ノ國

尼ノ民たち

吉川晶子さん/「百合学院中学校・高等学校」教諭

学内外で「学びの場」づくり


 自分の学びや出会いを、自校の生徒にはもちろん、地域の人たちなどにも、広く共有しているセンセイがいます。創立60年以上を誇るカトリックミッションスクール「百合学院中学校・高等学校」教諭の吉川晶子さんです。

 「人が『1』つっこむところを、私は『1.1』と幅寄せ気味に(笑)。『そこまで来るなら、ちょっと話そうかな』と思ってもらえ、普通ならあいさつで終わるところ、会話を続けるきっかけになります。すると、お互いのことが見えてきて、うれしくなるし、関係性を築きやすいんです」


 持ち前のコミュニケーション能力を発揮して、積極的にイベントに参加したり、グループや団体を訪問したりする中で、多彩な人たちと出会い、交流しています。その人脈を活かして、学校での講演会にゲストを招待するほか、生徒が参加できるイベントを企画してきました。

 おもちゃの物々交換会と防災訓練プログラムを組み合わせた『イザ!カエルキャラバン! in百合学院』、市民が先生や生徒となって学校ごっこをする『みんなのサマーセミナー in Amagasaki(以下、サマセミ)』など、今や尼崎市の恒例イベントの裏には「吉川さんあり」という存在です。

出会いが、次の出会いにつながって


 吉川さんが学校から飛び出して「学びの場」づくりを始めたのは、2つの出来事がきっかけでした。

 1つ目は2006年、西アフリカ・シエラレオネを訪問したこと。「学校の募金活動の支援先であった日本人シスターが運営する学校をはじめ、教会や内戦の犠牲者・負傷者等が暮らす施設にも。これまでの価値観をくつがえされる経験をして、知って気づいて考えて行動することに目覚めました」


 2つ目は2010年、社会企業を訪問するハーバードスタディツアーに参加したこと。「社会貢献活動をする大学生と多く出会い、刺激を受けました。そこから人脈が一気に広がり、顧問を務めるクラブの生徒たちと学外に飛び出して行くようになったんです」

 1つの出会いが、新たな出会いを引き寄せ、2013年には社会起業家を招いて交流する『尼崎ソーシャル・ドリンクス』にたどりついたのです。

1つの点から、尼崎での人脈が濃く広がる


 「百合学院で勤めて10年以上が経っていましたが、尼崎がこんなにおもしろいまちだとは気づいていませんでした」と振り返るくらい、それまでは市外での活動が中心。『尼崎ソーシャル・ドリンクス』に参加すると、『あまらぶウェルカムムービー』に生徒と一緒に協力することになるなど、一気に関係性ができていったのです。

 そして、2015年。愛知県で開催されているサマセミの尼崎市版をやろうとなった時、立ち上げメンバーとなり、自校での開催を実現します。これが吉川さんにとっての尼崎ライフをより豊かにしてくれました。


 「サマセミメンバーには、市役所やNPOの職員、広告代理店等の会社員、クリエイターなど専門分野も働き方もさまざまな人たちが集まっています。それぞれ軸となる仕事を持ち、真面目に取り組みながら、加えて『学び』に対しても熱い! 同じ志や想いを持つ人たちだから、一緒にいておもしろいんです。実行委員会後にみんなで呑みに行くのが楽しくて仕方がない(笑)」

人が変わるのを見るのも楽しい


 「『学び』で人生が変わる」と話す吉川さん。自身が学びのおもしろさを実感しているのです。

 「私もこんなに学んでいなかったら人生が楽しくなかったと思います。たとえば、先日コンビニのマーケティングの話を聞いたのですが、その後にコンビニに行ったら『こういうことだったんだ』と学びとリンクして新しい発見がありました。毎日、同じことの繰り返しのように見えるけれど、学びがあれば、日常や世界の見え方が変わる! もう1つ、別の人生を生きられるような、そんなおもしろさがあるんです。それをみんなと共有することで、人が変わるのを見るのも楽しい」

まさにセンセイの仕事は吉川さんの天職。人生を変える学びの場をつくり続けています。



(プロフィール)

きっかわ・あきこ 広島県出身。大学卒業後、民間企業の営業職を経て、「百合学院中学校・高等学校」に着任。国語・宗教・キャリアと3教科を担当するほか、社会活動・国際協力活動を行なうロータリークラブ提唱の「インターアクトクラブ」顧問を務める。趣味は海外旅行でこれまでに20ヵ国以上を訪問し、昨年はフィンランドの教育視察ツアーに参加。旅行でも『学び』を大事にしている。平成27年文部科学大臣優秀教職員表彰において「ユネスコ活動や国際交流活動等の分野に置いて、特に顕著な活動を上げた者」という分野で表彰された。


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