ごきげんさんに暮らすまち、尼ノ國

尼ノ民たち

五島弁を電波に乗せて


ラジオの収録現場で取材を行いました

 あなたは、まちで知らない人から突然声をかけられたら、どう思いますか?初めは不審に感じる人が多いのではないでしょうか。しかし、人の懐に飛び込んで、その人の心を開かせてしまう、そんな力を持つのはFMあまがさきでパーソナリティを務める三宅奈緒子さんです。


 尼崎のまちの人に突撃インタビューをする「みやけなおこと尼人達」は、ラジオで聞いたことがあるという人も多いのでは。今年で17年目になる、三宅さんの看板コーナーです。

 三宅さんが、はじめて尼崎を訪れたのは2002年のこと。中学2年生から「芸能人になるけん!」と周囲に夢を語っていた三宅さんは、福岡のタレントを養成する専門学校を卒業後、夢を叶えるために大阪に移り住みます。大阪では守口市のラジオ局で、10分間のコーナー担当や突撃リポートなどの仕事を行っていました。「“方言を使うバラエティアイドル”としてテレビに出て、五島列島を有名にしたいと思っていました。ラジオのパーソナリティになるとは考えてなかったですね」と、はじめは夢と現実とのギャップがあったのだとか。


 23歳のとき、FMあまがさきで落語家のてんご堂雅落さん(2016年笑福亭瓶太から改名)のアシスタントを探すオーディションを受けます。「2次試験は、実際に2人で掛け合いをする試験でした。合格をいただいた後に、『他の人の方がパーソナリティとしては上手だった。でも、あんたとやったらおもろいと思った』と声をかけていただきました。五島弁で選んでもらったみたいなものです」。それから5時間の生放送番組「瓶太・なおこのおしゃべりワールド」が始まります。

取材をきっかけに増え続ける「友達」


尼人達の取材で仲良くなった地域のお煎餅屋さんと

 「みやけなおこと尼人達」のはじまりは、番組中に話すネタ作りのために尼崎のまちに出たことがきっかけ。「尼人」は尼崎の人々のことで、三宅さんは親しみを込めてそう呼んでいます。「まちで聞いた面白いネタがあるのに、番組の中で話すことができず『今日も話せなかった』というストレスが溜まっていきました。番組内で話せても尼人の“2人集まれば漫才”という空気感は、私が話しても伝わりませんでした」。そんな不満を抱えているとき、「実際に声を録音して放送すれば良いんだ!」と気付いたそう。そこから、MDとカメラを持ち出して録音するようになりました。

 そんな「みやけなおこの尼人達」は今年で17年目。取材者数は、番組開始から500組を超えます。「毎回行き当たりばったりで取材をしています。これがまた不思議なことに、毎回必ずステキな尼人に出会えるとです。ご縁を感じますね」と微笑みます。


三宅さんは取材した尼人達をひとりひとりカードにまとめています

 三宅さんは取材をする上で心がけていることがあるといいます。「それは、出会った人とその時だけの付き合いにしないこと。取材させていただいた人には、お手紙と音源を録音したCDを送っています」と三宅さん。その後も100歳の誕生日に花束を持って行ったり、近くに行く時に立ち寄ったりと、取材後も交流を続けています。「取材をきっかけに友達をつくりたい」という思いもあったのだとか。


「みやけなおこと尼人達展」に多くの人が足を運びます

 さらに、取材で撮影した写真の展覧会「みやけなおこと尼人達展」を開催する際には、取材で出会った人に手書きのメッセージを添えたチラシを送っているそう。「皆さんチラシを持って、写真展に足を運んでくれます。今年で14回目になりますが、尼人達の同窓会みたいですね。小学校の入学式の日に取材をした男の子が、今では中学生になりました。毎回おばあちゃんと写真展に来てくれ、成長を見ることが嬉しいです」と、長く続けているからこその喜びがあると話します。

1人での新しい挑戦


 2016年からは、「みやけなおこのあいあいワールド」がスタート。「瓶太さんとの番組が終わって1人になったとき、私1人で番組をやって聞いてくれるのだろうか?と不安がありました。でも、尼人達やリスナーさんたちが番組を支えてくれました」と三宅さん。たくさんのメッセージが番組宛に届くなど、みんなで盛り上げようとしてくれているのが伝わってきたと言います。


「尼の匠☆ミ」でも、1件ずつ丁寧にカードを書いているそう

 不安もあった新番組ですが、新しい試みも生まれました。それは新コーナー「尼の匠☆ミ(あまのたくみみ)」。尼崎の工場を取材し、その魅力をリスナーに届けます。「普段入れない工場は面白く、経営者ならではの話を聞くことは私自身も勉強になります。ですが、専門的な知識が必要になるので、尼人達のコーナーと比べて準備が2.5倍ぐらい大変ですね(笑)工場内の機械を説明するときは、分かりやすいように身近なものに例えて話すなど、日々パーソナリティとしての話術が磨かれます」と大変ながらもやりがいを感じています。

市民全員と友達になりたい!


 多くの尼人達を取材した三宅さんの目には、尼人達はどのように映るのでしょうか?たずねると「ワンダーランド!」との答え。「どこに行っても、誰の話を聞いても面白いです。長く続けていると同じ職業の人に取材することもありますが、出身地や家族構成が違うので、全く違う話が聞けます。それぞれにドラマがあり、1人ひとりが人生のストーリーを持っていると思いますね」。


「みやけなおこと尼人達」は、三宅さんが思いを込めて丁寧に取材・編集しているので、多くの時間と手間がかかっています。しかし、「尼人達との出会いはプライスレス。ラジオに出会えて良かったですし、取材のない人生なんて考えられないですね。尼人達との出会いがなければ、人生観が違ったと思います」と胸を張ります。

 「これからも、まだまだ尼人達と尼の匠☆ミのコーナーを続けていきたいです。コーナーを続けられる環境があること、応援してもらっていることが嬉しいです。いつか、市民全員と友達になりたいですね」と目を輝かせる三宅さんの取材の日々は、まだまだ続きます。






写真、写真展中、公開インタビューをする三宅さん


(プロフィール)

みやけ・なおこ 長崎県五島列島出身。パーソナリティを務める「みやけなおこのあいあいワールド」は、FMあまがさき(80.2MHz)毎週金曜15:00〜18:55まで放送中。コミュニティFMを中心に、リポーターやイベントMCとして活躍。取材で撮影した写真の展覧会「みやけなおこと尼人達展」を開催している。2006年には、取材で出会った人をまとめた「みやけなおこと尼人達」を出版。

 

写真展「みやけなおこと尼人達展。」
期間:2018年8月15日(水)~20日(月)
時間:10:00~17:00(初日のみ13:00~、最終日16:00まで)
会場:尼崎市総合文化センター2階 ギャラリーアルカイック



取材・文 尼ノ物書キ組

立花莉絵子

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