尼崎でごきげんに暮らしたい人へ

尼ノ民たち

おたがいさまと書かれたステッカーを持つ笹原さん
笹原篤史さん(26)/いちご農家

住宅街の真ん中にあるささはら菜園


ささはら菜園の入り口

 尼崎初の本格的ないちご菜園ができたと聞きつけ、訪れたのは猪名寺の住宅街。大きなビニールハウスと入り口に付けられたいちごの風船を目印に、ささはら菜園に伺いました。

 2019年9月に新規就農したのは、尼崎で生まれ育った笹原篤史さん。祖父が稲作を営んでいた農地を引き継ぎ、鉄筋の基礎で作られた立派な4連棟のビニールハウスを建てました。26歳の若さで大きな設備投資をし、農業をはじめたきっかけはなんだったのでしょうか。


作業をする笹原さん

 「就職活動で高糖度トマトを中国に輸出する企業の試験を受けました。最終試験では実際にビニールハウスでトマトを試食したのですが、初めて食べたと言っていいほど甘くて美味しくて。育て方ひとつでこんなに味が変わるのだと驚きました」と笹原さん。独学で農業について調べたり、農家の見学に行ったりするうちに、自らも就農したいという思いが芽生えてきたそうです。子どものころから親しんできた祖父の畑に跡継ぎがいなかったこともあり、農地を守るために就農することを決意。企業の内定を辞退して、高単価で12月から6月まで収穫できるいちご農家になることを選びました。

 「家族に就職せずに農業をやると言ったときは、めちゃくちゃ反対されました。もともとあまり親の言うことを聞かない子だったので勝手に研修先を決めて。3年間神戸のいちご農家に研修に行っている間に、決意の固さを察してしぶしぶ折れてくれました」と振り返ります。

都市部だから届けられる完熟いちご


笹原さんが作る大きないちご
笹原さんの作る「べにほっぺ」は甘さと酸味のバランスが良く、スーパーに並ぶ一般的ないちごの倍ほどの大きさがある

 いちご作りのこだわりは、「一番美味しい状態で食べてもらえるように、完熟して赤くなった状態で収穫すること」。いちごは完熟後数日しか赤さを保つことができず、日が経つごとに黒くなってしまいます。そのためスーパーに並ぶものは、出荷から消費者に届くまでの日数を考えられ、6〜7割ほど赤くなった状態で収穫されるそうです。


作業をする笹原さん

 しかし、ささはら菜園は市街地に畑があり直売所を併設しているので、その日中に消費者に届けることができます。「お世話になった農協の方や市長などを招いて2019年12月に開園式を開きました。もぎたていちごの試食会をしたときに、多くの人に甘くて美味しいと喜んでもらいました。スーパーに並ぶものと完熟したいちごはやはり甘みが違うので。いちごを選んでよかったと感じましたね」とまちなかで農業をする喜びを噛み締めます。

 さらに「尼崎は研修先の神戸の親方に羨ましいと言われるほど、日照時間が長いんです。平地が広がっているので、山間部よりも日没が遅いんですよ。あとは畑作業をしているところをお客さんに見てもらえることも、尼崎で農業をするメリットだと思うんです」と笹原さん。いちごの他にも露地栽培で白菜を育てていると、「何植えているん?」「いつ採れるん?」「いくら?」と通りすがりの人に声をかけられるそう。実際にその場で売れることもあり、育てているときからお客さんとコミュニケーションを取ることが宣伝になっているといいます。

猪名寺のまちと人に支えられて


話しをする笹原さん

 地域の人との関わりはそれだけに留まりません。「収穫間近の白菜が鳥の被害に遭って落ち込んでいるときに、それを見た近所の人が『まだいけるのもあるって!それ買うわ』と言って励ましてくれたんです。自分の作った白菜を楽しみにしてくれている人がいることを知って、被害に遭ったものを除けて収穫に励みました」。その結果、予想を超える量の白菜を収穫することができたそう。農業をはじめるまでは近所の人と関わりがなかったと話す笹原さんですが、就農してからは地域の人に支えられていることを日々感じるといいます。

畑のある風景を残したい


ビニールハウスで作業をする笹原さん

 田舎を思い出したり、自然を感じられたりする田園風景。しかし市街地の農地は減少傾向にあります。「畑は地域の財産だと考えているので、まちなかにある農地を守っていけるよう農業を頑張りたいです」と笹原さん。消費者として、尼崎の農地を担ってくれる彼を応援せずにはいられません。

 ささはら菜園では、朝摘みいちごを直売所で販売中。火、木、土、日曜日の朝10時から営業しています。日によって販売数が違うため、売切れ次第閉店します。また5月から予定していたいちご狩りは、状況に応じて6月以降に開催されます。尼崎で親子やお友達と一緒に真っ赤に熟れたいちごを食べたい人は、ホームページから予約をして訪れてみてくださいね。甘い香りのするビニールハウスで笹原さんが出迎えてくれるはずです。


いちごを持つ笹原さん

直売所の外観

いちごを持つ笹原さん

入り口に置かれた看板

話をする笹原さん

ビニールハウスの内観

開園式の様子

直売所の案内

作業をする笹原さん

(プロフィール)

ささはら・あつし 尼崎市猪名寺生まれ、猪名寺育ち。好きな果物はメロン。2021年からは白菜に変わってスイートコーンを植える予定。「アメリカ映画のように一面スイートコーン畑を都会で再現したいな」と意気込む。

ささはら菜園のお問い合わせはこちら

 

  


 1  ささはら菜園
猪名寺1丁目6−16(Google Map


尼崎の人を笑顔にするヨガ

老舗旅館を守る尼崎で生まれた女将

ページトップヘ