ごきげんさんに暮らすまち、尼ノ國

尼ノ民たち

長村和美さん(46)/一般社団法人「女性の未来」代表理事・株式会社「栄水化学」統括部長

「栄水化学」との運命的な出会い

 2015年、一般社団法人「女性の未来」を設立した代表理事の長村和美さん。大学生、主婦へのキャリア支援や、企業向けの研修教育事業を積極的に展開しています。この設立にいたるまでには、これまでに経験してきた女性ならではの苦労があったようです。

 長村さんが結婚したのは24歳の時。出産をして、専業主婦をしていたころ、日々の生活に物足りなさを感じていたといいます。「自分だけが、世の中に取り残されたような気分になった」。そんななか、たまたま友人が広げていた求人誌に「栄水化学」のハウスクリーニング事業部店長の求人を見つけます。「これだ!」と運命を感じた長村さん。条件も勤務地も全く見ずに、すぐに応募。入社が決まりました。


 入社したのは、20年前。その当時は、結婚・出産してから正社員として働く女性はまだまだ少数派。社外で会合があるたびに、「母子家庭なの?」「旦那さんの給料安いの?」などと必ず聞かれていたそう。男性主体のビジネス社会。女性の仕事が評価されにくい風潮。働く女性に対しての風当たりが強いなか、直属の上司であった松本久晃さん(現・代表取締役社長)は、長村さんに言います。「君は女性だけれど、仕事は性別で評価しないから」。そんな松本さんの考えに共感した長村さん。2人で協力をしながら、働きやすい環境整備を考えていくことになります。

働きやすい環境づくりを考え続けた20年間


 「栄水化学」は従業員143名のうち、130名は女性。「だからこそ、女性スタッフにどう働いてもらうかがキーになります。女性はやる気があっても、育児や介護など自分の意志ではどうにもならないことが必ず出てくる。そこをどう、会社がうまく調整していくかが重要なんです」と話す長村さん。そこで、「ワークシェアリング」「完全自社雇用」「子連れ、孫連れ出勤OK」など、さまざまな仕組みを打ち出していきます。


 「なかでも、うちの会社らしいと思うのは、『いつでも帰っておいで~制度』ですね。介護や育児など色々な理由で仕事が続けられないスタッフさんに対して、無期限で休職できる制度です。雇用体系に関係なく、誰でも利用できます。復帰率は95パーセント。みんな元気に戻ってきてくれるのが、本当にありがたいですね」。

 このように「働きやすい環境づくり」を実現するために、さまざまな取り組みに関わってきた長村さん。「この自社で実践してきたノウハウや経験を、女性のキャリア支援に向けて、貢献できないだろうか」と考えるようになります。

女性が社会で活躍するために必要なものとは


 そうして立ち上げたのが一般社団法人「女性の未来」です。大学生、働く女性、起業したい女性など、さまざまな女性に、キャリアカウンセリングや講演・講座を行っています。20年前に比べて、女性が活躍しやすい環境になってきている今。けれど、それに女性が追いついていない現実があると、長村さんはいいます。ビジネスルールを学んだり、小さい成功体験を重ねていく。そうすることで、着実に自信をつけていくのが目的です。

 「気になるのは、尼崎市は他市に比べて、起業家になりたい女性が少なく、ボランティア的な女性が多いこと。『誰かのために何かしたい』という女性が多いのはいいことなのですが、女性が自立するということは、自分自身がしっかりと自立しないといけない。かせぎがないと、やりたいことが続けられません。ビジネスとしての種まきをちゃんとする。そして、右手にそろばんを持ちながら、お客様に対価をもらう。そうすることで、自身のスキルも上がる。その重要性をこれからも伝えていきたいですね」。

尼崎だから始めたいことがある


 今年、長村さんは尼崎で挑戦したいことがあるといいます。「尼崎は、世話好き、いっちょかみ、おひとよしの人が多いですよね(笑)。さらに、驚くほどコミュニケーション力が高い。だからこそ、おじいちゃん、おばあちゃん、若い人、お母さん、子どもがみんな一緒になって集まれる場所を作りたいと思っています。でも、それはただのコミュニティではなくて、きちんと働ける場所。きちんと収益があがる場所にしたい」。そう語る長村さんの顔は本当に楽しそう。これからの動きに注目です。








(プロフィール)
ながむら・かずみ 結婚出産後、株式会社栄水化学のハウスクリーニング事業部店長として入社。一児の母として子育てをしながら、「働きやすい会社づくり」を実現するため、ワークシェアリング、時短勤務をはじめ、会社の環境整備の取り組みに関わる。2015年、一般社団法人女性の未来の設立。個人や、企業向けの支援を展開する。


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