ごきげんさんに暮らすまち、尼ノ國

尼ノ学校

「食べる教材 尼いも」前編


理科の授業で尼いもを学ぶ


 10月15日(月)に、水堂小学校3年2組で尼いもの授業が行われました。「6月に植えた尼いもの収穫をしますが、その前に尼いもについて学びましょう」と先生の声かけで始まった4時間目。まずは、理科の授業で習っているマリーゴールドや朝顔などの通常の植物の一生を振り返ります。


写真、黒板で植物の一生について説明する担任の先生
3年生の理科の授業では、植物について学んでいます

 植物の一生は、たね、子葉が出る、葉の数が増えて草たけがのびる、つぼみができる、花がさく、花がかれると実ができる、たねができる、の順番に成長していきます。では、尼いもの一生はどうでしょうか?


写真、先生の質問に元気よく手を挙げる子どもたち
先生の質問に、「はぁーい!」と元気に手を挙げる子どもたち

 「実は理科で学んだ植物と尼いもは、違いが4つあります。違いはどこでしょう?」と先生からの問いかけに、子どもたちは顔を見合わせて首をかしげます。2分間考えたあと、答えが分かった人は発表しました。答えは「苗から植えた」「順番が違う」「花が咲かない」「土の中に実ができる(根が膨らんだ)」の4つ。「先生が理科の授業で教えたのは、植物の一生の中のひとつのパターンです。実は植物にはいろんな一生があるんですよ」と説明が続きます。


写真、4種類の花の写真を黒板に貼って尼いもの花を当てるクイズの様子
みなさんはどの写真が尼いも(サツマイモ)か分かりますか?

 サツマイモの花は通常の育て方では咲きませんが、さまざまな条件が整った環境下のみで開花するそう。「尼いも(サツマイモ)はどんな花が咲くのか?」という問いに、4つの写真を見比べ、尼いもの花だと思うものを当てました。見ている取材班の大人たちも、困惑するほど難しい写真。そもそも、サツマイモの花を見たことがない人も多いのではないでしょうか。一度見てみたいものです。


写真、真剣に課題に取り組む子どもたち
真剣に悩みながら紙に答えを書く子どもたち

 次に「尼いもと普通のサツマイモの葉の違い」を2枚の写真を使って観察。子どもたちは葉の形や色の違いを見極め、見事尼いもの葉を見分けていました。その後、サツマイモの品種やサツマイモを使った料理について学び、4時間目は終了。尼いものことがよく分かる、難しくも楽しい授業でした。

尼いも王決定戦!


写真、尼いも収穫前に説明する先生たち
まずは校庭横の畑に集まって、収穫の説明を聞きます

 次週の10月23日(火)、尼いもの収穫が行われました。今回は2クラス合同で8チームに分かれ、尼いも王決定戦が行われるそう。競う項目は、ツルの長さと葉の枚数、芋の重さの3項目です。子どもたちは、どの苗を掘り起こそうかと悩みながら、優勝を狙っていました。


写真、子どもたちが尼いもを収穫する様子
「尼いもは育っているかな?」と期待して覗き込みます

 まずは地面に出ているツルを切り、その後に尼いもを掘り起こしていきます。手で土を掘ったり、先生にスコップで手伝ってもらったりしながら、それぞれ尼いもを掘り出しました。今年は7〜8月は雨が降らず、9月は台風の被害を受け不作だったので、例年よりも小さいものばかり。それでも子どもたちは、「尼いもとれたぞー!」とはしゃいでいました。


写真、尼いもの茎の長さを測る子どもたち
メジャーを使って収穫した茎の長さを測ります

 収穫したチームから、採れたツルの長さをメジャーで測ったり、葉を一枚一枚数えたりして記録用紙に書き込んでいきます。あるチームは、ツルの長さが2.75メートル、葉の枚数が83枚、芋の重さが0.3キログラムでした。芋は各チーム2個ずつほどしか採れませんでしたが、子どもたちは「掘るのが固かったけど、楽しかった」や「早く食べたい」など話していました。今回の優勝は、芋の重さが0.4キログラムだった8班。ツルの長さと葉の枚数が決め手になったようです。

目指せ!グルメリポーター


写真、スライスして水を張ったボールに入れられた鳴門金時、安納こがね、尼いも
上が鳴門金時、右が安納こがね、下が尼いもです

 2週間後の11月6日(火)には、待ちに待った尼いもの試食会が行われました。今回は、「目指せ!グルメリポーター〜お口の中が宝石箱や〜」と題して、見た目や味、食感を言葉で表現する授業。尼いもだけでなく、1年生が育てた鳴門金時と安納こがねも試食して、どれがどの種類かを考えます。今回は尼いもの収穫量が少なかったので、メニューはお芋をホットプレートで焼くだけ。しかしお芋の焼ける甘い香りが調理室に立ちこめ、子どもたちは「いい匂いー!ポテトチップスみたい!」とはしゃいでいました。


写真、いもの食べ比べをする子どもたち
「これは何の芋かな?」と考えながら食べます

 クラスごとに3グループに分かれ、3種類のお芋を食べ比べします。「めっちゃパリパリしてる」や「外がカリカリで中がほくほく」、「色からして違うやん!」など、思ったことを紙に書いてまとめていきます。尼いもを食べた瞬間に「これが一番おいしい!」と叫ぶ子も。ジャンケンをして最後の一切れまで仲良く食べていました。


写真、食べ比べの答えを聞いて喜ぶ子どもたち
見事全員が正解し、大喜びしています

 3つのお芋の種類当ては、全員が正解。安納こがねの感想は、「しっかり味がついている」や、オレンジ色をしているからか「ニンジンみたい」などがありました。鳴門金時は、「しっとりしている」や「噛みごたえがある」など。尼いもは「さっぱりしている」や「少し苦い、固い」、「ネバネバ、シャキシャキしている」などの感想がありました。


写真、それぞれのいもの特徴を書き留める様子
どんな味がしたか、しっかりと紙に書き留めていました

 先生からは、「尼いもは昔のお芋だけれど、最近改良して生まれた安納こがねはおいしくなっているんです。スーパーでも4種類ぐらいのお芋が売っているので、家でもおやつにお芋の食べ比べをしてみてください」と話がありました。また「尼崎で作られてきた尼いもですが、一度は絶滅しました。でも復活させた方々がいて、こうして皆さんも育てることができました。これからも尼いもをお家の人に教えてあげたりして覚えていてください」と締めくくりました。

 4回に渡った尼いもの授業。植え付けから収穫、試食と尼いもについてしっかりと学ぶことができました。これからも尼崎市内の小学校で授業を続けていき、尼崎に住む多くの人が、自分たちの住むまちの郷土野菜について知っているようになれば良いですね。尼いもを食べてみたい方は、毎年10月に「尼芋奉納祭」が貴布禰神社で行われているので、そちらで尼いもを試食してみてください。きっと、実際に食べることで、尼いもへの愛着がますます湧くはずです。


【尼ノ國】伝統野菜で尼崎を知る 「食べる教材 尼いも」(収穫編)


【尼ノ國】伝統野菜で尼崎を知る 「食べる教材 尼いも」(試食会編)











「食べる教材 尼いも」前編



取材・文 尼ノ物書キ組

立花莉絵子

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