国境を越え“音楽”で繋がる 「アウクスブルク市と吹奏楽で交流」

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写真、記念式典の様子

 尼崎市は、ドイツのアウクスブルク市と姉妹都市提携を結んでおり、これまで数々の友好を深めてきました。今年5月には、提携60周年を記念してアウクスブルク市で記念式典が行われ、現地を訪れた尼崎市の高校生と、アウクスブルク市の生徒たちが、尼崎出身でドイツ在住の末岡さんの指揮で、吹奏楽合同コンサートなどを行い、交流を深めました。


写真、ディーゼル記念石庭苑の前での集合写真

 今回ドイツに訪れたのは、市長をはじめとする尼崎市代表団や市民団のほか、市立尼崎高等学校と尼崎双星高等学校の吹奏楽部の生徒たち。高校生たちは、日本庭園・ディーゼル記念石庭苑やノイシュバンシュタイン城を訪れ、滞在中は一般家庭にホームステイし、ドイツの文化に触れながらホストファミリーたちと一緒に過ごしました。


写真、ノイシュバンシュタイン城の下での集合写真

写真、「黄金の間」での記念式典で吹奏楽合同演奏を行っている様子

 アウクスブルク市庁舎「黄金の間」で行われた提携60周年記念式典は、アウクスブルク市の生徒、先生によるアントニオ・ヴィイヴァルディの「二つのオーボエと弦楽のための協奏曲」で開会し、アウクスブルク市のグリーブル市長のあいさつの後、市立尼崎高校と尼崎双星高校の生徒30名が、J.Sバッハの「主よ、人の望みの喜びよ」を披露しました。最後に、尼崎市とアウクスブルク市の生徒60人が合同で、リヒャルト・ワーグナーの序曲「ニュールンベルクのマイスタージンガー」を演奏しました。


写真、大植英次さんの指揮によるオープンレッスンの様子

 記念式典の翌日は、世界的指揮者の大植英次さんと共に、尼崎市とアウクスブルク市の高校生が吹奏楽公開レッスン・コンサートを行いました。
 大植さんは、一般財団法人山岡記念財団の協力で、平成29年から尼崎市内で中学・高校生との吹奏楽公開レッスン・コンサートを開催しており、直接ドイツの音楽のレッスンを行うことで、音楽の楽しさや素晴らしさを伝えています。今回、実際にドイツで大植さんのレッスンを受けることができた高校生たちは、新たな体験ができることの楽しみと、大勢の観客の前で演奏するといった緊張が入り混じりながらも、集中して演奏していたようです。


写真、大植さんの指導を真剣な表情で聞く両市の生徒たち

 「メトロノームや小節線は音楽の敵!」と大植さんは言います。いつも学校ではメトロノームをつけて練習している尼崎の高校生たちにとって、この言葉はとても印象深かったようです。また、大植さんは、曲の表現している物語についても説明されるので、レッスンを受けるうちに、その曲の背景や物語を理解しながら演奏すること、さらに、自分がどのように吹きたいか、どんな思いを伝えたいかを、音にのせて表現することが大事だと気付きます。


写真、大植さんの指揮による合同コンサートの様子

 「黄金の間」で、400人あまりの観客を前に行われたオープンレッスン・コンサート。現地の人たちがたくさん見ている中、言葉の壁など感じずに、気持ちを音にのせて表現することができました。演奏後は数分間にわたるスタンディングオベーション!鳴りやまぬ拍手の中、堂々とした面持ちで前を向く高校生たち。その表情からは、演奏中に溢れる緊張感から解き放たれ、うれしさからか少し照れ臭そうな笑みがこぼれていました。



写真、ホームステイ先の少女と尼崎の生徒たち

 滞在中は、レッスンの合間にホストファミリーと自由に過ごす時間もあり、それぞれの家でいろんな体験ができたようです。
 ドイツでは、食事の時は箸ではなくナイフとフォークを使って食べることや、水やお茶ではなく炭酸水が主流だということ、ソーセージを焼いておもてなしをしてくれたことなど、尼崎の高校生たちにとっては新鮮な体験ばかりでした。言葉が通じない中、少し戸惑いながらもジェスチャーを使って言いたいことを伝えると、笑顔でうなずいてくれるなど、現地の人たちのやさしさにも触れることができたようです。すると、自然と最初の頃の緊張もほぐれ、現地の人たちとトランプやゲームなどで遊び、楽しく過ごせるようになってきました。


写真、感謝の集いでホストファミリーの前で演奏する尼崎の高校生たち

 ドイツでの暮らしを体験し、ホストファミリーたちの優しさに触れながら貴重な時間を過ごした高校生たち。ザンクト・シュフテン高校の小講堂で行われた「感謝の集い」では、そんなホストファミリーたちに向けて、尼崎の高校生が感謝の気持ちを伝える演奏を披露しました。


写真、感謝の気持ちを込めて演奏する尼崎の高校生

 高校生たちは、大植さんのレッスンで教わったように、一人ひとりが気持ちを音にのせるよう意識しながら演奏し、それぞれの感謝の思いを表現していました。「花は咲く」の演奏では、涙を流すホストファミリーも多くいたようで、自分たちの気持ちが伝わって良かったと、まさに音楽を通じた、言葉のいらない交流を実感したのでした。


写真、高校生たちに吹奏楽の指導をする大植英次さん

 今回、アウクスブルク市で高校生に吹奏楽を指導した大植英次さんですが、2019年9月21日には尼崎市で、「大植英次 中学・高校吹奏楽部公開レッスン&コンサート」を開催します。今回も大阪フィルハーモニー交響楽団メンバーが支援参加し、ドイツ音楽を通して音楽の素晴らしさを尼崎市の中高生たちが体験します。
 今回の参加校は、市立尼崎高校、尼崎双星高校、小田中学校、小田北中学校、立花中学校、成良中学校の吹奏楽部の生徒たちです。大植さんのエネルギッシュな指導に刺激を受けて、近い将来、音楽の世界で未来へはばたく生徒たちも現れることでしょう。彼らの今後の活躍も期待されます。




写真、関西国際空港出発前の生徒たちの様子

写真、移動バス内での生徒たちの様子

写真、日本庭園視察の様子

写真、ホーエンシュバンガウ城の下での集合写真

写真、アウクスブルク市の街並み

写真、熱心に指導する大植さん

写真、ホストファミリーと笑顔で並ぶ生徒

写真、ホストファミリーと生徒の記念撮影

写真、ホストファミリーと食事中の生徒