学生生活

 尼崎市立中央図書館の1階。少し暗めの照明とゆったりとしたBGM、アロマが漂うセミナー室で、あるイベントがはじまりました。その名も「眠りたくなる朗読会」。図書館でシエスタを…、というサブタイトルは、どうやら図書館で眠るイベントのようです。金曜日の14時、お昼ごはんを食べてウトウトするにはぴったりの時間に26人もの参加者が集まりました。

 実はこの企画、2017年7月のオープンキャンパスで出会った、図書館職員と参加者(ここでは「尼大生」と呼びますね)のアイデアから実現したのです。

きっかけは何気ない一言

 本を使ったワークショップや図書館ツアーで、中央図書館や本の魅力を職員からたっぷり教えてもらった後に、図書館の課題についてみんなで考えました。お題は「ビジネスパーソンに来てもらう方法」。すると一人の尼大生から衝撃の感想が飛び出しました。

「私、本を読むと絶対に寝てしまうんです」。


 読書を愛する図書館の人が聞いたら怒り出すんじゃないかとハラハラしていると、「図書館にも気持ちよさそうにウトウトされている方多いんですよ」と職員の山本美和さんが身を乗り出して、話に加わってくれました。以前から、朗読会で睡魔と戦う参加者の姿に注目していて「いつか気持ちよく眠らせてあげたい」と彼女も企画を温めていたのだとか。

 そこから「本と眠り」をテーマにアイデア出しが盛り上がり、図書館で昼寝をするプロジェクトチームが誕生しました。合言葉は「図書館でシエスタを」。昼寝で仕事の効率を上げてもらおうという企画です。


得意なことを持ちよる尼大精神

 でも、ただ寝るだけだと、図書館で開催する意味がありません。ここからアイデアをさらに絞るのが「みんなの尼崎大学」です。後日再び図書館に集まり、メンバーの知り合いに睡眠と健康を研究している人がいたり、職員の山本さんが「ビブリオバトル」という書評合戦の猛者だったり、図書館司書さんの全員が絵本の読み聞かせができるなど、尼大生たちがそれぞれの得意なことを持ちよります。


 企画会議では、上級睡眠健康指導士の樋口まりさんから、眠りやすい環境についてアドバイスをもらい朗読本を選んだり、会場のセッティングを考えたり、これまでどこにもなかったイベントを作る楽しさをメンバーで実感しました。


図書館が「最高の眠り」を演出

 そして4カ月後。「図書館でシエスタを」が開催されたのでした。
「携帯電話の電源はお切りください。他の人の妨げになるいびきや悪夢にうなされている方は、こちらからお声がけさせていただくことがあります」。開始直前の山本さんからのアナウンスに会場から笑いが起こります。

 会場はごく普通の会議室ですが、椅子に座って眠るのが快適な昼寝の秘訣なのだとか。事前に室内をしっかりと暖めておいて、イベント開始と同時に空調を止めて静かな空間を作るなど、随所に職員のおもてなしが光ります。

 はじめに、樋口さんから「健やかな眠りについてのおはなし」としてレクチャーを受けます。「効果的なお昼寝は15分から20分で。座ったままがおすすめです。これ以上眠るとカラダも休んでしまい、再始動に時間がかかってしまいます」と、静かな口調で語りかけるレクチャーこそが、実は眠りへといざなう演出で、船をこぐ参加者もちらほら。


 続いて図書館司書の奥田友子さんによる朗読がはじまりました。最も寝やすいのでは、と選ばれたのは、島崎藤村の詩集(島崎先生ごめんなさい)。照明が落とされ、「まだあげ初めし前髪の林檎のもとに見えしとき~」と『初恋』の一節が部屋に静かに響きます。普段は抑揚をつける朗読ですが、今回は眠りやすさを考え、できるだけフラットに読んでみるという図書館司書ならではの工夫が凝らされています。


 最高の眠りのために考えられた、15分の朗読と5分の静寂の後、照明がつくと部屋全体に、寝起きの気配が漂っていました。ここで山本さんが登場し、眠りにまつわる図書の紹介がはじまりました。『おやすみロジャー』という寝かしつけのための読み聞かせで有名な絵本から、村上春樹の小説『ねむり』や伊集院静の自伝的小説『いねむり先生』、『夢分析事典』や『起床術』といった実用書まで、ビブリオバトルの達人の紹介でおよそ1時間のプログラムが終了。


 「知らない間に完全に意識を失っていました」「少しだけ寝たおかげで、頭がすっきりした。これから一仕事がんばれそう」という参加者がいる一方で、「普段の朗読会ではよく寝てしまうんだけど、今日は『寝てもいいよ』と言われたら逆に眠れなくて、島崎藤村の詩がしっかり聞けました」という意外な反応も。

 図書館の山本さんも「いいイベントができました。みなさんよく寝てくださってよかったし、いつもとは違う形で言葉の美しさを伝えることができました」と大満足の様子。「本を読むと眠たくなっちゃう」という何気ない一言に、好奇心と遊び心を忘れず、対話を重ねることで、図書館の新しい楽しみ方が生まれるなんて。「みんなの尼崎大学」ならではの学生生活を体感できたイベントなのでした。(みんなの尼崎大学事務局 若狭健作)


募集案内(イベントは終了しています)

本を読んでいるとつい寝てしまう。
でも図書館で寝ると注意されるんです。
そんなお悩みから生まれた、みんなの尼崎大学企画。
ゆったりとした朗読を聴きながらちょっとだけ、昼下がりの中央図書館でお昼寝しませんか。

とき:2017年12月1日(金)14:00~15:00
ところ:尼崎市立中央図書館1階セミナー室
(尼崎市北城内27 阪神尼崎駅より南東へ徒歩5分)

◆当日の内容◆
・本の朗読とおよそ20分の昼寝
・講師の樋口まりさん(上級睡眠健康指導士)より、健やかな眠りについてのお話を聞く
・図書館所蔵の関連本レビュー
※昼寝を体験していただきますので、開始5分後以降の入退室はご遠慮ください。
 また、小学生以下の児童の同伴はご遠慮ください。

お申し込みは、尼崎市コールセンターまで。
受付期間:11月8日(水)~28日(火)
Tel:06-6375-5639  Fax:06-6375-5625

主催:尼崎市立中央図書館
企画運営:みんなの尼崎大学図書委員会(放課後ミーティングメンバー)


図書館でシエスタを。眠りたくなる朗読会 チラシpdf


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