学生生活

 尼崎市内に大学は3つあります。関西国際大学、園田学園女子大学、そして産業技術短期大学、通称「産技短(さんぎたん)」です。(そして4つ目は、「みんなの尼崎大学」!)

産業技術短期大学(さんぎたん)とは

 産業技術短期大学は、東京オリンピックより2年前、昭和37年に日本鉄鋼連盟(鉄鋼会社の集まり)が「関西鉄鋼短期大学」として設立。高卒で入社した社員が大学教育を受けられるようにと、技術者の育成を目的に、日本で唯一の産業界がつくった大学。現在では、企業派遣の社会人学生と高校から進学した学生が一緒に学んでいます。



 産技短には現在、4つの学科があり、1年生と2年生合わせて約500人の学生が在籍。社会人学生が20%、新高卒の学生が80%くらいです。

  • 機械工学科
  • 電気電子工学科
  • 情報処理工学科
  • ものづくり創造工学科

 企業派遣の社会人学生は、卒業後に派遣元の企業に復帰します。高校から進学した学生は、卒業後、20%程度が4年制大学の編入学、80%が就職するとのこと。就職先の20%は、地元尼崎の企業だそうです。

 この日の見学会は、主に企業の担当者を対象に行われたもの。大学の技術をビジネスに生かす産学連携や、採用やインターンシップといった関わりのきっかけにと、尼崎市産学公ネットワーク協議会が企画しました。

 学長の小島彰さんより、「いわゆる共同研究のような、企業のニーズと学校のシーズがぴったり一致するということはなかなかないかもしれない。しかし、大学職員は学会などで人的ネットワークがある。直接的に本学の研究がということでなくても、人を介して世界が広がるということがある。」とお話がありました。
 人や活動をつないでいく「みんなの尼崎大学」としても実感を持ってうなずくところです。


歴代学長の写真がある部屋での学長あいさつです

4つのラボ(研究室)へ潜入!

 そのあと、各学科の見学会。
 最初はものづくり創造工学科へ。
 久次米利彦先生が大小さまざまな3Dプリンターと学生さんの作品を見せてくれました。来年度はさらに、5000万円のマシンが導入されるそう!先生の見せてくれたパンフレットには「より複雑なデザインの再現性をよりスピーディーに実現した今までの常識を覆す3Dプリンティングの革新」と書かれていました。

 うーん、何やらすごいですね。家庭用の小さいものだと3万円くらいで買えるとのこと。それだけでも、世界中に公開されている設計図をダウンロードしてプリントすることはできますが、オリジナル作品を作りたい場合はCAD(キャド。コンピューター上で設計や製図を行うソフト)が必要とのことでした。


カラフルでかわいい3Dプリンター

水に溶けるつなぎ材等を使って、鎖のような構造を作ることができます

 この日は春休みでしたが、学生さんが集まって何やらミーティング中。部屋の一角には、ミニ四駆のようなものがたくさん積み上げられた宝(とガラクタも…?)の山が。まるでおもちゃ箱の中に入ったような、ワクワクする部屋でした。




 お次は機械工学科へ。
 流体力学のコンピュータを使ったシミュレーションについて、浅尾慎一先生から身振り手振りのレクチャーが。ドルフィンキックで泳ぐ人の周りの水の流れ方や、サッカーボールのシュートの軌道、撹拌機の中で熱源からの温度がどのように分布するかなど。動いているものの周りの流れがどうなっているかを研究されています。

 「研究テーマはどうやって選ぶのですか?」の質問には、「この分野は国立大学の大規模な研究室もたくさん研究しているので、あえてニッチをねらっている。」とのこと。調べていくと、思いもよらないところでおもしろい結果が出ることがあるそう。

 コンピュータの計算は、実際と必ずしも一致するものではないが、装置を作っての実験より省スペースでできるだけでなく、細かい部分の数値をとれるなどの利点があると説明してくれました。


攪拌(かくはん)による熱の伝わり方を表現


 続いて、電気電子工学科
 こちらの研究室は天井が低く窓もなく、何やら秘密の工房感が漂います。ジブリに出てくるエンジニアっぽいおじさんが働いている地下室といったら伝わるでしょうか。出迎えてくれたのは小川英典先生。

 「鋼が…そして窒素が…機械の公転と自転が…◎△$♪×¥●&%#」ちょっと専門的であるため分かりませんでした。高校時代に物理と化学に苦しんだ私としては、「金属と窒素を化合させることで、いろいろよくなる!」と理解しました。

 この小川先生、なんと参加者の一人、大阪ガス株式会社の井上佳昭さんと高校の同級生だったというミラクルが!ん十年ぶりの偶然の再会を果たした二人は、交流会終了後に飲みに行かれたそうです。


間髪入れずに始まるレクチャー

よく見ればちゃんと窓もありました

再会した二人。井上さんは「最初は気づかなかったが、説明の癖を聞いているうちにもしかしてと思った」とのこと

 最後に、情報処理工学科
 廣田正行先生のご専門は「マイクロ波加熱」。

 身近なものでこの原理を使っているのが電子レンジです。簡単にいうと、マイクロ波の波形とはプラスとマイナスであり、それを物体にぶつけるとその中のプラスとマイナス(電子レンジであれば、水分子H2Oの中のH+がプラスでOがマイナス)が振動するため、そのエネルギーでものが温まる仕組み、とのこと。外部から熱源をあてるのと異なり、そのもの自体を温めることができるので、非常にエネルギー効率が良いそうです。
 この原理により、投射する波動の波形より小さなものは温まらないそうです。たとえば、明太子のつぶを一つだけ電子レンジに入れても、温度は上がらないとのこと。(へー!)

 また、学科の学生さんはプロジェクションマッピングに取り組んでいるとのことで、地域のイベントなどでも活躍できる機会がありそうですね。


声も身体も大きい廣田先生は、学生部長も務めています

学生も教授も一緒に交流会

 その後、食堂で交流会があり、学生さんも何人か参加していました。
 入学から卒業まで2年間とギュッと濃縮された学生生活ですが、平成30年度夏には40人の学生さんが企業のインターンシップに参加されるなど、将来を見据えて積極的に活動されています。

 教授陣も事務局スタッフも積極的にお話ししてくれる様子に、「人を介して世界が広がる」という冒頭の小島学長のお話を思い出し、社会に技術者を送り出すという産業技術短期大学の熱い思いを感じることができました。
 雨が降っていましたが、学内には早咲きの桜が咲いていて、春の訪れを感じる見学会でした。


この記事を書いた人

みんなの尼崎大学事務局 山添 杏子(文転経験者)

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