学生生活

 協同まちづくり学校「みらい」とは、阪神医療生活協同組合が 2020年2月に生協認可取得から50年を迎えるなかで、これからも地域の住民、団体と力を合わせてまちづくりを進めるために企画されたものとのことです。

 8回の連続講座で、子どもの未来、高齢者の未来、障がい者の未来などをテーマに、それぞれのテーマをフィールドとして活躍している人がゲストスピーカーとして問題提起します。その後、みんなで論議し考えを深めます。
 今回は、「働く人の未来」がテーマでした。ゲストスピーカーは、関西よつ葉連絡会代表の児嶋宏紀さん、園和小学校養護教諭の吉岡有可さん、鹿児島県で介護事業「いろは」を主宰する中迎聡子さんでした。

関西よつ葉連絡会の児嶋さんのお話



 関西よつ葉連絡会は、食肉加工、豆腐、パン、冷凍食材、生鮮品などをできるだけ、自分達の手で手がけるため生産加工現場をよつ葉内でまかない、よつ葉の職員が携わるというスタイルにこだわり、会員さんとの信頼関係を築いてきました。また、能勢、日吉、高槻、亀岡在住の農家さんとも減農薬、無農薬の有機野菜を出荷してもらうなど、40年もの間、安心・安全な食づくりという活動を通じ「顔の見える関係」を持続し続けてきています。
 生産・流通・消費の流れをよつ葉グループ内でまかなっていくために、職員の専門分野を作らない。そうすることで生産者の思いや会社全体を担っていることを感じてもらいたいと思っています。
 人を育てることも活動の中心に据え、自主性を持って動くことが大切と考えています。その中で組織を好きになり、助け合いの気持ちも生まれてきます。労基法もありもちろん超過勤務手当も付けるようにしていますが、労働=賃金ではない。職場はお金儲けのためだけではない。お金に変えがたいものが職場にはあります。おのおのの役割を果たし、助け合い支えあい生きるところに成長があると考えています。

園和小学校保健室の先生の吉岡さんのお話



ありがとう

 子ども食堂があって、食べることができる居場所があって、ありがとう。気にかけてくれる人がいることにありがとう。

人の目の冷たさ

 私自身が子どもの頃、お菓子屋さんでおかしを買った時50円払ったのに、お店のおばちゃんから「お金払ってない」と決めつけられたことがありました。熱があって学校を休んだ時に一人でドムドムとかレストランでお昼ご飯を食べていたら、学校に通報されたことも。それを見た近所の人から「かわいそうに」という目で見られることがいやでした。お母さんが忙しくてご飯は外食か一人でカップラーメンで済ます毎日でした。忘れ物が多いと言って学童の先生から『罰』で、ぞうきんをひたすら洗うことをさせられて、いやでした。
 母子家庭だから、子どもに目が行き届いていない、子育てができていない、うまく育てられていない、問題のある子という目で決めつけられた気がしました。

人の目の温かさ

 おばあちゃんが入院していた時に、付き添いが必要になって、母と一緒に病院に泊まり込んでいました。母はそこから仕事に、私は学校に行っていました。そんな家庭状況を知っていた先生が家庭訪問に来てくれたり、おばあちゃんの葬式に来てくれました。そんなふうに心配してくれる大人のひとがいてくれることで、ちょっと安心したし、うれしかったです。
 そんな時に、たまに一人でいる時に「うちにおいで」と言ってくれる近所の人や「うちに来るか」と言ってくれる先生がいてくれることもうれしかったです。

 子ども食堂につなげた気にかかる子から「先生、子ども食堂に一緒に行って」と言われてついていきました。保育所も行くことができず、家でも手作りのご飯を作ってもらうことがなかったその子のお兄ちゃんは、ハム一切れしか食べられませんでした。その時、子ども食堂の人から「今度は何が食べたい」と聞いてくれました。おにいちゃんは「ウィンナー」と言ったら、「今度はウィンナー作っとくわな。またおいでや」と声をかけてくれたんです。
 この子どもが、この地域の人たちと繋がっていたら、どれだけ心強いか。
 私が子どもの頃、私の家のことを気にかけてくれ心配してくれた人たちと重なって見えました。たった一人でも生活背景を知り受け入れてくれた人がいたら、生きていけるかな・・・と思います。そして、言葉にうまく表せない子どもたちを大切にしたいという思いや安心できる場所が作れたらという思いからから、初めて「保健室の先生になりたい」という将来の夢が持てました。

 話をする機会をもらって、良かったです。これから自分の仕事をしていく上で大切にしていくことをもう一回考えることができました。

鹿児島県の介護事業「いろは」の中迎さんのお話

 2003年から介護事業を経営しデイサービス、訪問介護、移送、小規模多機能などを作ってきました。利用者は他で預かってもらえない方を中心に預かりました。残り少ない時間をその人らしく、余分なことをせず枯れるように老いてもらいます。しかし中には、介護度3で来られたのに元気になって介護が不要になった方も。
 その人には「いろは」で出来ることをしてもらっていました。「いろは」で働く職員には、不登校の子や社会になじめない人も働いています。4年前、農作業が出来なくなった畑の前を通ったとき「畑がかわいそう」といった人がいました。だったら私たちがしようということになり、朝、農作業をしてから出勤してくる職員やいろいろな働き方の人が混じっています。家で裁縫をしている利用者の作品も売っています。「暮らすように仕事ができる」このようにしていくと、優しさを感じられ空気や水にまで感情を向けられるようになります。
 「いろは」で働くことは生活そのもので、2日良い天気が続けば「明日皆よもぎ摘みにいってください」と指令が来たりします。それを仕事ととるか、仕事中にそんなことをするのかと思うか、ごっちゃになっていますが、そんな働き方ができるところです。
 数人の要望でも必要なことを全力でやっている「いろは」は、事業認可が下りる前でも必要なことがあればすぐにします。行政に詰めかけ訴えます。そんな働き方ができるのが「いろは」です。

3人のお話を聞いて感じたこと

 公私混同という言葉は、一般に否定的な意味で使われますが、皆さんの話に共通しているのは、いい意味の公私混同だと感じました。やりたいこと、いきがいという個人の心という私的なところと、仕事という公的(社会的)部分が極力、重なっていくことがやっぱり幸せだということ。
 よつ葉連絡会の児島さんからは、職員のちょっとした意識改革が生きがいや、やりがいにつながっていくと話していました。しかし、一方で、人のライフステージに合わせて、子育て、介護など生活上、大切なことが生じることも事実です。公私混同しつつ、折り合いを付けて子育て、介護も充実していければいいなぁと思いました。
 また、吉岡先生の話に同感するものがありました。今回お話を聞かせてもらった私自身も生まれて3ヶ月の時に父母が離婚して母方の祖父母に育てられたからです。そして、まだ介護保険がない時代の祖父母の介護と仕事の両立の厳しさを身を持って経験しました。だから、私もしんどい人のことが気になるのです。
 この後は、有志が残り、一杯飲みながらワイワイガヤガヤ。あっ、参加者は30数人でした。



 この協同まちづくり学校「みらい」は、今回参加したのが3回目で、まだ5回あります。各回は独立しているので、興味のある回にだけ参加することもできます。次回以降の日程は、次のとおり。参加費は各回参加費は200円です。

第4回 2月15日(土)13:30~15:30
「障がい者のみらい」
-障がい者の不安・困りごと、作業所からみえる障がい者-
講師:山口奈理さん(社会福祉法人さくらんぼ)
松村志邦(NPO法人サニーサイド)

第5回 3月21日(土)13:30~15:30
「尼崎市のみらい」
-第1~4回の意見交流から考える尼崎市の課題と取組み、市民や地域団体に期待すること-
「協同組合のみらい」
-多世代視点の安心づくりに協同組合はどう寄与するか、協同組合に求められるもの-
講師:稲村和美さん(尼崎市市長)
前田裕保さん(コープこうべ地域活動推進部拠点づくり推進統括)他

第6回 4月18日(土)13:30~15:30
「社会福祉法人・NPOのみらい」
-多世代視点の安心づくりに社会福祉法人・NPOはどう寄与するか-
講師:桑山信子さん(WACゆずり葉代表)他

第7回 5月16日(土)
「自治会・町会・社協のみらい」
-多世代視点の安心づくりを自治体・自治会・町会・社協はどう進めるか-
講師:山口昇次さん(尼崎市社会福祉協議会園田支部支部長、戸ノ内社会福祉連絡協議会会長)他

第8回 6月20日(土)
「阪神医療生活協同組合のみらい」
-協同まちづくり学校「みらい」を通じて学んだこと、これからの医療生協の進路-
講師:中村大蔵さん(阪神医療生協理事長協同まちづくり学校「みらい」校長)
蓮見克也さん(阪神医療生協専務理事)
山﨑洋子さん(阪神医療生協理事)
広畑貞昭さん(阪神医療生協選挙管理委員会委員長)


この記事を書いた人

みんなの尼崎大学事務局 桑田 一夫

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