学生生活

 7月7日(火)夜7時から「第3回みんなの尼崎大学オンラインゼミ」を開きました。今年度は新型コロナウイルス感染症の影響から、集まることが難しいためオンラインゼミを開講しています。七夕の日には「オンラインは舞台だ!演劇レッスンで表現力を学ぼう」を開きました。

 zoomやスカイプなどオンラインでの打ち合わせや会議、イベントが増え、急速にディスプレイ越しの言葉のやりとりが広まりました。そんな中、「対面できないもどかしさ」や「小さい画面で思いを伝える」ことの難しさを感じた人も多いのではないでしょうか。今回は、県立ピッコロ劇団の本田千恵子さんを講師に招き、演劇の手法を活かしたコミュニケーションを体験しました。


画面下が本田さん。大学や企業でコミュニケーション指導などの講師をされています

画面越しに小石が移動?!

 第一部はゲーム編。まずは手指を使ったアイスブレイクで脳トレにチャレンジ!参加者みなさんの緊張をほぐしていきます。次は、本田さんのポケットから出てきた「目には見えない小石」を画面越しに回すチャレンジ。実際に小石があるかのようにイメージしながら、パントマイムのように小石リレーをしていきます。
 まずは、見えない小石をつまんだ手を、相手に渡す動作をしながら画面内からフレームアウトします。名前を呼ばれた次の人は、画面外から小石を受けとったように手をフレームインさせて、また次の人に小石を回していきます。一巡目は小石を回しただけでしたが、二巡目はその小石がどんどん大きくなっていく設定。三巡目は逆にどんどん小さくなっていく設定で回していきました。

 このゲームでは、手をフレームアウトさせて石を受け取ったり渡したりしながら、画面の外に想像力を働かせました。見えないものに想像力を搔き立てられたみなさんは、小石を落とす演出をしたり、大きくなった石に押しつぶされたりと、みなさん個性の光る演技をしていました。ある参加者は、石が回ってくる順番になったタイミングで毎回画面が固まってしまうという面白アクシデントも。笑いが絶えない様子を見た本田さんから「今まで大学の授業などいろんなところで小石を回しているけど、このチームは最強!」と大絶賛していただきました。


小石を回す場面で予想以上に盛り上がりました

名画にタイトルを付けてみよう

 第二部は、名画からイマジネーション。ミレーの代表作『晩鐘』に、オリジナルのタイトルを付けてみました。それぞれ絵を見て思いついたタイトルをチャットに書き込んでもらうと、「空腹の夕暮れ」や「反省会」「収穫への道のり」などがあがりました。「どこまで掘ったん?」とタイトルを付けた参加者は「女性の方は地面を覗きこんでいて、男性は何かをして話しているように見えました。女性が穴を掘って植えた作物がよれてしまっていたから、男性が『どこまで掘ったん?』と聞いたと思ったんです」とユニークな回答が飛び出しました。


画面を共有してみんなで同じ画像を見ながら話します

 次の課題は「男性がぼそっと一言つぶやいた後、女性は何と返事をしたでしょう?」というもの。参加者はまるで大喜利のように、チャットに思いついたことを書き込んでいきます。男女の会話を想像して、「何謝っとん?!」「おわりね」「そんなん知ってたに決まってるやん」など、男女のいざこざに関連した一言を考える人も。ついついゴシップネタを連想してしまう人が多かったなか、ある参加者は「『じゃがいもを収穫したよ』と男性が言ったので、『ニンジン植えるって言ってたやん』とツッコミしているところを想像しました」と面白い回答もありました。

本田千恵子さんからメッセージ。

『時間内にお伝えしたことに少し加筆してお話しますね。
「1つ目の課題(タイトルをつける)では、見たものそのものを受け取り答える人が多く、2つ目の課題(何を言ったかを考える)では、絵の中で何が起こっているのかを皆がイメージし始めました。
  “見たものそのものの言葉化”と“その中をイメージした言葉化”。出てきた“言葉”の違いは何でしょうか?
 “見たものそのもの”はいわゆる“説明”と言えるでしょう。でもそこに“イメージする=想像”が加わってくると、個々の想像力が働きだし、各々の“創造”“表現”に繋がり始める。同じものを観ても人それぞれ受ける想像は違いますし、また、そこから先に広げる創造力をみなさんは持っています。
 みなさんは一つの絵画から各々の物語を生み出していました。【想像から創造へ】これは演劇に限らずどんな表現でも、日常でも、大切な力だと思います。【想像から創造へ】をどうぞこれからも楽しんでみてください。
 また、少し違う角度で捉えるなら、“どんなタイトルが観ている側の想像力掻き立てるか?”ということでもあるかもしれません。』

赤ずきんちゃんの物語を語ってみよう

 最後は、参加者全員で赤ずきんちゃんの物語を語るワークをしました。頭の中にある原作のストーリーを思い浮かべながら、ひとり一文ずつ物語を進めていきます。「前の人が言ったことを否定してはいけません。大切なのは相手のことを受け止めること。演劇では自分が目立とうと発信に力が入りますが、発信よりも受信が大切。相手がどんな言葉を繋いできても、それを受け表現してみてください」と本田さん。

 記憶を呼び起こしながら、原作にできるだけ近づけることが目標だったのですが…参加者が作った赤ずきんちゃんの物語がこちら。




 受信することの大切さを聞いてもなお、発信することのおもしろさを捨てきれないメンバーだったでしょうか。しかし、妖精の声が聞こえたり、おおかみとフレンチレストランに行ったりと、前の人の言葉を活かしながら原作に沿って話を進め、なんとかハッピーエンドで終えることができました。


脱線しながらも上手くまとまり、満足げな参加者のみなさん

 オンラインでは画面内の少ない情報だけで会話をしなければならないですが、画面の外にも想像力を働かせながら、「発信」よりも相手を「受信」することが大切だと実践を交えながら学んだ今回のオンラインゼミ。最後に本田さんから「ピッコロ劇団も8月公演から再開することになりました。機会があれば実際に観にきてくださいね」と締めくくられました。

 参加者からは「みんなの発想力がさすがでした。世間は暗い雰囲気ですが、笑いがあって楽しかったです」や「参加者の多様性がすごかったです。想像力、表現力がすごく、とてもためになる時間でした」などの感想がありました。なんと本田さんの教え子でもあると明かした参加者からは「コロナ以前からオンライン演劇をやっていましたが、基礎を忘れている気がしたので参加しました。受信する大切さを思い出せてよかったです」と感想があり、オンライン上で感動の再会が起こっていました。

 大盛り上がりだった第3回のオンラインゼミ。次回は、第2回で取り上げた「依存症」のテーマについて学びを深めるゼミを8月26日(水)午後7時から開講します。詳しくはみんなの尼崎大学Facebookをチェックしてみてくださいね。

おまけ

講座終了後にも嬉しい感想のメールが届いたのでご紹介します。

 「エネルギーは伝わるんだ!そしてどんどん広がって増幅する」
想像力を刺激しつつ、Yes and,で前に一歩踏み出していく流れが大きくなっていって、参加の皆さんのいのちが輝き、自分もその中にいることができて幸せでした。 (りびょーん(日本学校演劇教育会関西支部長))  

                                
 自分自身が表現教育に携わる中で、今日の中にもヒントがありましたし、やはり文化芸術でいろんな人の心も豊かになれると信じている中なので、こうやって市民レベルでこういう活動に興味がある方がいらっしゃることに本当にうれしかったです。 (ごーちゃん)    

 本田さんの情熱が参加者のみなさんにも伝わり、エネルギー溢れるオンラインゼミになったことを、大変嬉しく思います。


この記事を書いた人

みんなの尼崎大学事務局

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