広島で平和教育を展開する「NPO法人Peace Culture Village」さんと考える 〜「あたりまえのへいわ」ってなんだろう〜(令和2年10月21日)

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 尼崎市ダイバーシティ推進課では、毎年市民のみなさんと一緒に平和について考える会を開いています。
 今回は新型コロナ感染症防止を考慮して、オンラインでの学びを展開するみんなの尼崎大学の協力も得て、オンライン講演会を開催しました。毎日の生活のなかで「平和って何だろう?」と考える機会を作りたかった、また広島だけでなく全国の戦争体験者の高齢化という問題があり、我々の現役世代が平和を継承する取組を始めたいという思いから企画しました。
 講師は広島で平和活動に取り組んでいるNPO法人Peace Culture Village(ピースカルチャービレッジ)専務理事の住岡健太さん。1985年生まれの住岡さんは、広島市出身の被爆3世。海外留学や起業等の経験を経て、30歳のときに原点である広島に戻り「平和をつくる仕事をつくる」活動をされています。

 まずは、住岡さんからPCVの団体紹介をしていただきました。
 20代~30代のメンバーを中核に、観光や教育分野で、広島に世界中から訪れる様々な国の人たちと「平和」について対話するという活動をしています。平和といえばボランティア、というのが当たり前だった状況から、これからも活動を続けていくためにビジネスとして持続可能な仕組みを構築することも目指しているそうです。


 社会には「戦争とは何か?」「武器や核兵器で戦うこと」ということを語る人は多いが、「平和とは何か?」について考えたり、議論をする人はあまりいません。
 PCVでは「平和文化(みんなの幸せを考える、共創する文化)」と「戦争文化(自分だけの幸せを考える、競争する文化)」という言葉を使って、「平和」と「戦争」を目に見えない「生き方」として捉えています。
 学校に対する平和学習の提供や平和公園のガイドを通じて、平和や戦争について考える、それを促す取り組みを行っていると語る住岡さん。





 まず導入として、人によってモノの見え方が違う、という事例の紹介をしてもらいました。
 例えば、このイラスト、みなさんはどのように見えるでしょうか?


 湖に向かって男女が黄昏ているよう様子に見えます。
 しかし、視点を変えて見てみると大きな寝ころんだ赤ちゃんがいるようにも見えますね!視点を変えて考えてみると、他人のこともまた違った感じ方をしますね。
 自分が正しいと思っていても、相手にも正しいと考えることもある、それがぶつかり合うことで戦争って生まれてしまうことがある、ということを子どもに伝えているとのことです。

 平和についても同じで、「平和とは何か?」を考えるということは、過去を学ぶだけでなく、未来についても考えるという考えのもと、PCVは平和活動に取り組んでいます。
 その後、チャット上で質問を出してもらい、数名ずつに分かれてグループセッションを行いました。
「平和は継承していくもの?もしくは、作りだしていくもの?」
「戦争が始まってしまったら、あなたは武器を持つ?」
「平和って幅が広い、つらくないですか?」
など、幅広い質問や疑問、問いかけがたくさん出てきて、参加者同士のトークにも熱がこもります。


 戦争や紛争が起きたというニュースで流れたとき、「平和を作るための戦争なんだ」という大義名分をよく聞きます。戦争や紛争が起こる前に、自分の身の回りにはそういうことがないか、自分の人生で何かできることはないか・・・住岡さんのトークを聞きながらみなさんそれぞれ思いを巡らし、そしてグループ内で共有をしました。
 このような時間や機会を積極的に持つことで、一人ひとりが平和への考えをより深いものにし、より良い未来を作り上げていきたいという思いを強くし、オンライン講座を締めくくりました。またみなさんで平和について語り合う日が来ることを願って。

 尼崎市でも、公式YouTubeチャンネルで原爆被害者の会が作成した原爆投下当時の紙芝居を配信しています。ぜひご覧いただきたいと思います。




NPO法人Peace Culture Villageについて

https://peaceculturevillage.org/