オープンキャンパス

 昨年から開催してきたみんなの尼崎大学オープンキャンパスも、通算16回目。テーマは「これが商店街の底力」。杭瀬駅から徒歩5分、杭瀬中市場にある「休憩所・市場食堂」が今回の舞台です。


 市内に数ある商店街のうち、杭瀬を訪れたのは、「杭瀬アクションクラブ」の取組みをうかがうためです。


会場は超満員! およそ40名の参加がありました。

杭瀬アクションクラブってなんだ!?

 第二次世界大戦後、昭和21年に、市内のどこよりも早く商店街の復興に着手したという杭瀬商店街。「いち早く復興したがために、いち早く衰退の危機に瀕している、杭瀬は常に尼崎の最前線なんです」とは、杭瀬アクションクラブの代表で、杭瀬栄町EAST商店街の礒田雅司さんの弁。


礒田さんは商店街で酒屋「いそだ商店」を営んでいます。

 この苦しい状況を克服することで、全国の厳しい状況にある商店街の再生モデルになればと立ち上がったのが「杭瀬アクションクラブ」。メンバーは商店主を中心に、地元の小学校やPTA、役所の職員をも巻き込みながら、毎月会合を開いて、様々な活動(アクション)を起こしています。

 例えば、今回の会場となった「市場食堂」でもアクションクラブのプロジェクトが進行しています。


 ここは5年前に閉店した食堂の居抜き物件を、隣でお惣菜屋「もっこす亭」を営む石原和明さんが改装して再オープン。市場内で調達した食材で作った定食が人気です。


市場の活気を取り戻したかった、という石原さん(中央)。

 「市場の活気のため、どうしてもここのシャッターを開けたかった。誰もやらへんのやったら俺やるわ、って言ったら、そんならみんなも協力するわ、って言ってくれて」。

 いわゆる会合では、「こうしたらいい」というアイデアはたくさん出るものの、誰がどうやるかという具体的な行動につながらないことも多いもの。石原さんのように「俺がやる」と引き受ける人がいたことで、この場のアクションが加速していきました。

 市場食堂は「休憩所」ともあるように、お買い物中のトイレやベンチ利用もされています。ここを拠点に様々な企画が開催されるようになります。


中央が大槻さん。「登場人物」が入れ替わり立ち代り説明してくれました。

 「みんなの食堂」は杭瀬小学校で地域連携コーディネーターをしている大槻真佐子さんを中心に、月に2回、市場食堂を開放し、学校帰りの子どもたちが立ち寄って宿題をしたり食事をしたりと、子どもの居場所をつくる活動です。
 「いつもよう来てる子たちの親御さんが『いちばってどこ?』と言うのを聞いてびっくりしました」と大槻さん。地元の人には当たり前でも、新しく越して来た小学生の親世代には場所の存在すら知られていなかった、という発見になったそうです。


小濱さんは職員として「リノベーションスクール」への参加経験も。

 こちらは市職員の小濱賢二郎さん。リノベーションに興味があり、杭瀬に空き物件が多いと聞いてアクションクラブに参加しました。「物件借りる前に、まずは自分がこの辺のことを知りたいなと思って企画したんです」というのが「杭瀬えんまんツアー」。「つまみ食い」などの企画を楽しみながらお店の人と交流し、商店街を知ることができます。地元の人の参加も多く「住んでるまちのことって、みんな意外と知らないものだなあと実感しました」とのこと。


山崎さんは市職員で、現在は派遣で地域産業活性化機構へ出向しています。

 まちを知るためには、データを調べることも重要。そこで登場するのが、尼崎地域産業活性化機構の山崎智宏さん。「杭瀬は尼崎の商業集積地の中でも空き店舗率は高い方ですが、ここ5年間の土地・建物用途の変遷を調べてみると空き店舗の『数』は減っているんです」と表を示してくれました。
 商業地が住宅地に移り変わり、昔ながらの商店街エリアが縮小しているほか、高齢化が進み、特に単身の高齢世帯が多いとのこと。こうした状況のなかで、今後まちの商店街がどうなっていきたいか、よく考えて判断していくことが必要です。

 このように、様々な立場の人が関わっている杭瀬の商店街。今回は「もしもあなたがこの杭瀬でお店を持つなら、何屋さんをする?」と参加者へ問いかけてみました。

新感覚まちづくりゲーム「開店どうでshow!」

 「杭瀬は、儲からないから空き店舗になってるわけじゃないんです!」と熱弁をふるってくれたのは、杭瀬で不動産業者を営む藤井輝男さん。先述の通り高齢化が進んで跡継ぎがなく、泣く泣く閉店した店舗も多いのだとか。


今日は店主候補を見つける気マンマンの藤井さん。

 なんと今回は藤井さんより、実際の賃貸物件を2件ご紹介いただけることに。家賃と現地の間取りも明らかになったうえで、「何屋さんをするか」「店のウリ(名物商品・サービス)は何か、その価格」「営業日時の設定」を参加者一人一人が考えて発表しました。


物件A:3坪ほどの小さなお店。以前は八百屋さんだった。

物件B:20坪と少し広い。奥に社長室のような小部屋も!


月の目標売上記入欄もあります。みんな、本気で考えて!

まずは物件AかBかを決めるところから。悩みつつ記入していく参加者たち。

 書きあがったら6、7名のグループで共有。その中から、アクションクラブメンバーが気になる「お店」を全体にも発表してもらいました。


あまぴっと」は立花にある、子育て中のママが中心のコミュニティスペース。

 お子さんと一緒に参加した藤井菜摘さんは、親子の居場所になるような交流スペースの運営アイデアを発表。一家が住み込みで開店することで採算を取るとのこと。「お母さんのアイデアがおもしろい」と礒田さん。


創業支援オフィス「Abiz」に勤める森さんならではのアイデア。

 石原さんがピンと来たのは「ひよこ社長室」。開業準備中の「ひよこ社長」たちが集い、アイデア開発や交流も含めたコワーキングスペースの企画です。石原さんは「若い社長さんが来てくれたら、新しい動きを作る仲間が増えて、嬉しい!」と大興奮。

 その他、参加者全員が本気になって、杭瀬での「お商売」を考えてくださいました。


写真撮影ツアーとその作品をギャラリー展示するスペースのアイデア。

70~80才代向けのネイルサロン、化粧品、ファッション館。暮らしにオシャレを!

 「こんなにアイデアが出てくるとは思いませんでした」と礒田さん。これまではまちの中の人だけで話し合っていましたが、外の人の声は刺激になり、とても参考になりましたと参加者へお礼を述べられて、今回のオープンキャンパスが終了しました。


 今の杭瀬の状況は、いわば“革命前夜”。熱心にまちのことを考え、行動を起こしていこうというまちの人たちのエネルギーにあふれています。この熱気を感じに、ぜひ杭瀬商店街(杭瀬中市場)へ訪れてみてください。
さらに、尼崎にはほかにも活気ある商店街がたくさん。一度お近くの商店街を歩き、お買い物をしてみませんか。思いがけない学びや発見があるかもしれません。
(文・事務局 宮崎絵里子)

募集案内(イベントは終了しています)

商店街や市場って行ったことありますか?空き店舗や空き家が目立つようになってきた杭瀬のまちでは、商店主と地元の人たちが市場の中で、期間限定の食堂や学びの場を作っているんです。そんな古くて新しい杭瀬の市場でカレーを食べながらまちの未来を話し合います。

■日時
2018年2月21日(水)18:30~21:00
■場所
杭瀬中市場 市場食堂(尼崎市杭瀬本町1-19-2)
■共催
杭瀬アクションクラブ
■参加費
無料(カレーを食べる方は実費300円)
■持ち物
筆記用具
■定員
30名程度
■申し込み・問い合わせ
尼崎市役所 尼崎大学・学びと育ち研究担当
Tel:06-4950-0387 Fax:06-4950-0173
Email:ama-ucma@city.amagasaki.hyogo.jp


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