第19回みんなの尼崎大学オープンキャンパス@身体障害者福祉センター

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 10月26日(金曜)に、第19回みんなの尼崎大学オープンキャンパス「そうか!身障センターだったんだ!」を開催しました。会場となる尼崎市立身体障害者福祉センター(略して身障センタ―)はJR立花駅━尼崎駅間の線路のすぐ北、三反田の踏切近くのレンガでできた建物内にあります。

 今年度のオープンキャンパスは開催場所を公募。年間5回という枠に対しての選考を行いました。中でも今回の会場となった身障センターは、「現状を超えてチャレンジしたい」という担当者の方の思いが、開催の大きな決め手となりました。
 当日は、身障センタ―の活動紹介やフライングディスクの体験、センターのお悩み相談を考えるグループセッションを行いました。


身障センターの中にある体育室で開催しました

言葉を交わさずジェスチャーのみで誕生日順に一列に並ぶアイスブレイク。前後になった人と自己紹介をします

身障センタ―って?

 みんなの尼崎大学の説明、自己紹介のあとは、センター長の塚原敏美さんより身障センターの活動紹介がありました。
 身障センターは1985(昭和60)年に開所し、「市の教育・福祉のメッカ」として新聞にも大きく取り上げられたそう。当時は、全国で障害者リハビリや社会参加につながる施設が次々と生まれており、尼崎での身障センタ―設立を求めて運動していた人たちが、開所後最初の利用者となったそうです。

 18歳以上の障害者手帳を持った人が利用することができ、リハビリのほか、絵画やヨガなどの文化活動、スポーツ教室、イベントなどを行っています。障害者手帳を持っていない人は、市民公開講座への参加やボランティア活動として関わることができます。火曜日から日曜日まで(日曜日は貸室のみ)開館しています。

 そもそも「障害者手帳」を知っていますか?障害者手帳とは、視覚障害、聴覚や平行機能の障害など、さまざまな障害を持つ人に交付されるもので、身体障害者手帳(身体障害)、療育手帳(知的障害)、精神障害者保健福祉手帳(心の病気)の3種類があります。
 そのうち身体障害者手帳については、1級から6級までの等級に分かれていて、尼崎市の人口の約5%の方が持っているそう。療育手帳と精神障害者保健福祉手帳はそれぞれ約1%ずつなので、100人のうち7人程度の人が障害者手帳を持っていることになります。


スライドを使って説明をする塚原さん

 ちなみに、上の写真左側の女性は手話通訳の方。黒い服を着ているのは手の動きを目立たせるためだそうです。オープンキャンパスは視覚障害、聴覚障害の方でも安心してご参加いただけます。誘導・筆談・手話通訳が必要な方がお申込み時(開催一週間前まで)にお知らせくださいね。

 身障センターには、理学療法士や体育指導員、保健師などが職員として常駐。また、養成講座から生まれたボランティアグループが活動を支えています。塚原さんは「センターが開館してから33年が経ち、利用者が高齢化してきました。もっと認知度を高めて、若い人を含む多くの人に利用してほしいと思い、今回のオープンキャンパスを開催しました。私たちの悩みを一緒に考えてもらえたら」と呼びかけました。


今回は20人の皆さんにご参加いただきました

フライングディスク体験

 身障センタ―で活動している自主グループの中には、フライングディスクを行うグループがあります。フライングディスクとは、「フリスビー」のこと。標的の輪をめがけ10回連続して投げて、輪の中を通過した回数を競います。昔アメリカの大学生がパイ皿を投げて遊んだのが起源で、障害の有無・種類、年齢、性別にかかわりなく誰でも一緒に楽しめるスポーツです。大会では静まり返った会場で一人きりで投げなければならず、自分自身との戦いなのだとか。

 最初にデモンストレーションをしてくれたのは、背中にAFDC(尼崎フライングディスククラブ)と書かれたユニフォームに身を包み登場した今村仁さん(阪神タイガースの大ファン)。身障センタ―利用者の今村さんは、15年前からフライングディスクをはじめ、全国大会で優勝したこともあるそう。参加者が見守るなか、見事に全投成功されました。
 
 その後、いよいよ参加全員でフライングディスクの体験です。


左から2番目が今村さん。10枚中全て輪に入り、拍手が起りました

 まずは1人3投練習しました。意外とまっすぐに飛ばず、壁に向かって飛んでいってしまう人も。その後、車椅子に乗ったりアイマスクをしたり、肘が曲がらないような器具を付けるなど、さまざまな障害の体験をしながら本番にチャレンジ。


車椅子に乗ると感覚が分からず、輪まで届かない人も

 アイマスクをつけて目の見えない人は、輪の向こう側から鳴る音を頼りに投げます。輪の位置を時計盤に見立て「9時の方向に30センチずれました」など、周りの人にサポートしてもらいながら、頭で想像しながら投げなければなりません。参加者は「視界が悪くなるゴーグルと右ひじにおもりを付けました。見えないので緊張しながら投げました」と話していました。


輪の反対側でブザーを鳴らし場所を知らせます

簡単そうで意外と難しいフライングディスク

みんなで考えよう

 最後に、身障センターのお悩み相談のグループセッション。身障センターが抱えている「若い世代の利用を増やしたい」「こんなイベントや企画・仕組みがあれば身障センターを使いたい」「年1回のイベント『身障センターのつどい』を発展させたい」「初めて身障センターに来た人、どんな印象?」「広報物をどこにおけばいいか」「リハビリ以外のことも知ってほしい…」の6つの相談に分かれ、普段身障センターを利用されている方も交えてアイデアを出し合いました。


「初めて身障センターに来た人、どんな印象?」を話す皆さん

思わぬアイデアが出て、笑いが起こるチームも

 「こんなイベントや企画・仕組みがあれば身障センターを使いたい」グループでは、「ゴーグルをつけて仮想現実を体験できるVR(バーチャルリアリティ)を使った体験・スポーツをする」「ゲーム空間で対戦できるeスポーツ(エレクトロニック・スポーツ)なら、障害のある人もない人も一緒にスポーツができる」「身障センタ―というネーミングが堅苦しいので『あまあまセンター』とか愛称をつけてはどうか」などのアイデアが。なんと尼崎市障害福祉課にeスポーツの世界ランキング入賞者がいるらしいとの情報も。
 グループを担当した職員の方は、「自分たちだけでは出ない発想がもらえてありがたい」と手ごたえを感じられたようでした。他のグループでも、さまざまな意見が出たようです。
 参加者からは、「仕事上、建物にはよく来ていましたが活動内容は知らなかったので、今日参加して良かった」との声がありました。


ローリングバレーという競技には若い人が参加しているそうで、「まずはその人たちにセンターを利用してもらうのは」との意見も

 ■尼崎市身体障害者福祉センターのホームページはこちら
 http://ama-welfare.com/

 次回の第20回オープンキャンパスは、11月28日(水曜)18時半から瓦宮西園田福祉会館で「みとりまちってどんなまち?」を開催します。
 自分らしく最期まで生きられるまちをつくろうと、みとりまちプロジェクトに取り組む園田・瓦の宮地域。看取る、看取られることを意識することは、どう生きるかを考えるきっかけになるかもしれません。「みとり」に興味のある方、「まち」に興味のある方が集まります。まだお席がありますので、ぜひご参加ください。