ごきげんさんに暮らすまち、尼ノ國

突撃!尼ノ役所

写真、啓発ポスターやチラシを手に持つ職員
保健部事業推進担当チーム 写真左から、松原係長、斉藤さん、吉田さん、吉田課長

 尼崎市の「たばこ対策推進条例」が10月からスタートしました。JR尼崎駅周辺が路上喫煙禁止区域となり、歩きたばこは市内全域で全面禁止に。国の法律などでは飲食店など屋内での禁煙も議論されるなど、喫煙への視線は年々きびしくなっています。
 筆者は長い喫煙歴があるのですが、別に胸を張って吸っているわけではなく、吸わない人が不快な思いをしないよう、マナーや分煙には気をつけている立場(の、つもり)。できるならば禁煙したいとも思いますが、これがなかなか……。尼崎市の条例は「喫煙者にやさしい」とも聞いたのですが、さて──。

尼崎市のたばこ対策推進条例は、先行する他市とどう違うのでしょうか?



吸う人も吸わない人も同じ尼崎市民なので、喫煙者を締め出したり、排除したりするのではなく、お互いが気持ちよく過ごせるまちにしようという考え方が最大の特徴です。罰則や罰金できびしく取り締まることはせず、路上喫煙禁止区域を定める際も、近くに喫煙所を確保したうえで進めるようにしています。もう一つの特徴は、ポイ捨て禁止、受動喫煙防止、禁煙治療の支援など、たばこをめぐるさまざまな問題を盛り込んでいる点ですね。


たばこ対策は、これまでタテ割りだったんですよ。吸い殻の散乱防止ならゴミ収集担当の業務課、路上喫煙で周囲が煙たいのは受動喫煙だから保健部、火のついたたばこの危険性なら生活安全課……と。市民から苦情やご意見があると、担当課が分担して対応していたのが、すべて一カ所でできるようになったというわけです。

喫煙マナーへの苦情は多かったんでしょうか。条例ができたのも、それが理由?



市のまちづくり提案箱などに毎月2、3件はたばこに関するご意見をいただき、なかには「なぜ条例がないの?」という声もありました。「条例があれば、歩きたばこやポイ捨てなどを注意できるのに」と。阪神間や神戸・大阪などの近隣市で、たばこに関する条例がないのは尼崎市だけでしたので……。


時代や社会情勢に応じて、常識が変わってきたのが大きいでしょうね。私が市役所に入った30年前は、新人の仕事といえば、先輩の机の灰皿を片づけることから始まっていたものですが(笑)、今や喫煙所以外は禁煙、勤務時間中の喫煙も禁止です。市内の高校生に聞いてみても、たばこが「かっこいい・大人っぽい」というイメージは、もう全然ないですしね。

ちなみに、尼崎市民の喫煙率はどのぐらいなんでしょう。



平成29年のアンケート調査では15.8%で、これは全国平均(厚労省の同年調査で17.7%)より低いんです。内訳は、男性が29.2%(全国29.4%)、女性が7.2%(全国7.2%)。尼崎は喫煙率が高いイメージがあるかもしれませんが、少なくとも調査の上では、そうではないんですよね。

この中で喫煙歴のある方は? 吸わない方は、喫煙者のマナーが気になりますか?



3年前、このプロジェクトに加わる直前まで吸っていましたが、結婚を機にやめました。


私は禁煙して20年になります。それまでは夫婦で吸っていたんですが、ある時、飲食店で同席したお客さんに「おいしい料理を食べている時にたばこはやめてほしい」と、やんわり言われ、そこではじめて迷惑をかけていることに気づいたんです。それからは夫婦で競って禁煙しました(笑)。


私は吸いませんし、周りにも喫煙者がいないので、気にしたことはなかったんですが、もし家族が吸っていたら、やめてほしいですね。健康が心配なので。


私も以前は気にならなかったんですが、市役所に入って通勤するようになってから、歩きたばこやバス停で吸う人がちょっと目につくようになりましたね。


かつての私もそうでしたが、喫煙が習慣になっている人は、マナーに気を使っているつもりでも、なかなか周囲のことまで気づけないことがある。禁煙に踏み切るには、何かのきっかけや切実な理由があるかどうかなんだと思います。

耳が痛いです。できればやめたいと思ってはいるんですが……。



市役所では毎月22日の「スワンスワン(禁煙)の日」に、禁煙相談をやっています。禁煙治療を受けられる医療機関は市内に80カ所以上あり、健康保険もききますから、一度寄られてはいかがでしょう。


禁煙はかつて「根性」でなしとげるものでしたが、今は依存症と認められ、治療の対象です。私の知る熱心な先生は、なかなか禁煙できない人に対しても、「あなたが私の前に座ってくれたことが禁煙の第一歩」と親身になっておられますよ。

今後も路上喫煙禁止区域は増えていくのでしょうか。



そうですね。最近ではJR塚口駅に喫煙所が完成し、周辺を路上喫煙禁止区域にしていく予定です。ただ、喫煙者を一方的に締め出すのではなく、灰皿のある場所で喫煙していただくために、このような喫煙所を設置したり、たばこ店の店先の灰皿を「喫煙スポット」として登録し、ご協力いただいたりしています。また、携帯灰皿を持っている場合でも、人の多い場所などでは吸わないというマナーを心掛けていただきたいです。



条例の啓発ポスターにはピースサインが描かれていますが、これは、たばこを持つ手から、たばこを取り除けば2本の指が残って「ピースなまち」になるという意味なんです。吸う人も、吸わない人も、お互いの気持ちに配慮する共存のルールを広めていきたいですね。


 この条例をつくるにあたっては、「いろいろな立場の市民の声を聞く」ことを意識したそうです。禁止や規制を求める人たちはもちろんですが、タウンミーティングでたばこの歴史や文化を学んだり、喫煙者が語り合う座談会を開いたり。吸わない職員もこれを聞いて、「吸う人の気持ちや悩みが少し分かった」と言います。「喫煙者を排除するのではなく、喫煙者も非喫煙者もお互いを配慮しよう」と共存を呼びかける条例は、そんな議論の積み重ねから生まれてきたのだな、と実感しました。








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