ごきげんさんに暮らすまち、尼ノ國

尼ノ民たち

写真、ポーズをとるエコピカはかせ
エコピカはかせ(年齢非公開)/株式会社栄水化学 社長

エコピカはかせって誰?


 「エコピカはかせと一緒におそうじを学ぶのじゃ!」と話すのは、白衣を着て白い髭に白い髪型、黒ぶち眼鏡をかけたエコピカはかせです。なんともユニークな出で立ちで、2013年から子どもたちに掃除を教える授業「エコピカはかせのおそうじ塾」を開催。単発のイベントや、幼稚園や小学校に出向いての連続授業を行っています。


写真、栄水化学で実施した授業の様子
会社で行う授業は、年に6回程度行っています

 エコピカはかせが働く栄水化学でも、明城小学校区の子どもたちに授業を行っています。栄水化学は、ビルのメンテナンスを行う会社。銀行のようなセキュリティが厳しい場所や、病院のように特殊な汚れのある場所など、難易度の高い場所での清掃を得意としています。そう、エコピカはかせは、実は栄水化学の社長であり「掃除のプロ」なのです。

きれいにすることだけが目的ではない


写真、会社のインターンシップに参加する学生と授業を進める様子
インターンの学生と授業を進めます

 エコピカはかせのおそうじ塾は、若手社員やインターンシップの学生が中心となって、柔軟な発想を生かした楽しいプログラムを企画しています。エコピカはかせのお気に入りは、「ロケットづくり」の授業だそう。掃除で使う炭酸ガスの原理を用いて、ロケットを飛ばす授業です。他には、「廃材を使ったおそうじグッズづくり」や「人にも環境にも優しい入浴剤づくり」、「下駄箱のおそうじマスター」など、聞くだけでワクワクするような授業を行っています。


写真、重層を使って風船を膨らませる授業の様子
重曹を使って風船を膨らませる授業も

 栄水化学では、2015年から尼崎市が実施するインターンシップ制度を活用し、2018年度は15人の学生を受け入れています。以前は授業の依頼を断ることもありましたが、今はインターンシップの学生のおかげで依頼に応えることができているといいます。

 「掃除を楽しくするにはどうしたら良いか?をコンセプトに授業を作っているのじゃ」とエコピカはかせ。「まずは、掃除道具の使い方を教えることから。ぞうきんの正しい絞り方やほうきの持ち方など、知らない人がほとんど。正しく使うことで、短時間できれいにすることができるのじゃ」。お掃除のプロだからこそ知っている知識を、子どもたちに教えています。


 「きれいにするよりも、クラスが一体となることを大切にしているのぉ。掃除はチームワークが必要になるので、みんなで一緒に掃除をすることに重きを置いているのじゃ」と、掃除は「きれいにすること」だけが目的ではないと話します。保護者や先生へヒアリングを行い、その学校ごとの課題やニーズに沿ったオリジナルの授業を行います。

 小学校に出向くときには、全学年の下駄箱を見るというエコピカはかせ。すると授業を受けた学年だけ、靴が揃っていて下駄箱がきれいなのだとか。おそうじ塾を受けた生徒は、少しずつ授業態度が良くなったり、手を挙げて発言する子どもが増えたりと、掃除だけでなく生活面でも影響があるといいます。「片付けをすると頭が整理されるように、子どもたちに整えることの気持ちよさを知ってほしいのじゃ。環境が荒れると心が乱れてしまう。だから、掃除をすることで落ち着いて学習できるようになるのじゃ」と掃除が与える影響を話します。

掃除から心の教育まで


写真、おそうじ塾の授業の様子
8月4日は「みんなのサマーセミナー」で授業を行いました

 「エコピカはかせのおそうじ塾」が始まったのは、「人を育てることが好き。社員を仕事のできる人にするのではなく、社会で役立つ人にしたい」と考えるエコピカはかせの思いから。ビルのメンテナンス業務をメインに行いながら、それに付随するサービスを展開したいと考えていたエコピカはかせ。自分たちができる社会貢献を考えたとき、子どもに掃除を教えることにつながったと言います。


 最初は自社のスタッフの子どもを集めてスタート。子ども向けイベントなどに参加する中で、小学校の授業に呼ばれるようになっていきました。「サッカーワールドカップ2018で日本のサポーターがベンチを掃除した話は記憶に新しいですが、『自分たちが使った場所を来た時よりも美しく』という日本の文化を、誰かが受け継いで次世代に伝えなければならない。掃除をきっかけに、思いやりや感謝の気持ちを学んでほしいのじゃ」と、エコピカはかせの熱い思いが垣間見えます。

尼崎の教育のイメージを変えたい


写真、インタビューに答えるエコピカはかせ

 「尼崎では、小学校に入学する前に転出する人が多いそうじゃ。尼崎市内の全小学校で授業を実施し、このまちで教育を受けたいと思われるようにしたい。尼崎の教育のイメージを変えたいのじゃ。このまちに育てられたと思う人が増え、市内の企業に勤めたり、市外にいても社会の役に立つ人になったりしてほしいのぉ」と、エコピカはかせが目指す尼崎の未来を語ってくれました。

 おそうじ塾の開催は、市内限定にこだわっているエコピカはかせ。いつか尼崎では、お掃除といえばエコピカはかせの顔を思い浮かべる、そんな小学生ばかりになるかもしれませんね。


【尼ノ國 動画】エコピカはかせ サマセミ授業の様子











(プロフィール)

えこぴか・はかせ 尼崎市出身。2013年から幼稚園や小学校で「エコピカはかせのおそうじ塾」を開催。「平成29年度青少年の体験活動推進企業表彰」で中小企業部門において文部科学大臣賞を受賞。エコピカはかせの弟子や息子、娘を考案中。年齢は非公開。



取材・文 尼ノ物書キ組

立花莉絵子

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