学生生活

 平成29年11月11日(土)、橘公園・橘球場でとあるイベントが開催されました。そのイベントのタイトルは「ミーツ・ザ・福祉」。

 漫才や音楽、演劇、ダンスなどを披露するステージコーナー、ライブとDJコーナー、楽器づくりワークショップなどの体験コーナー、食べ物やクラフト、雑貨販売などのショップコーナーなど、会場には60以上ものブースが並び、来場者はなんと3,000人以上。たくさんの人でにぎわい、一見「普通」のイベントに見えますが、実はただのお祭りではありません。「ミーツ・ザ・福祉(“福祉”に出会う場)」というタイトルのとおり、障がいのある方と健常者が交流し理解を深めていくことと、障がいのある方がチャレンジできる場をつくることを目的にしたイベントなのです。


写真、会場の様子
飲食・クラフト・ワークショップなど様々なブースが並びます

写真、会場の様子
写真、会場の様子
こちらはペインティングワークショップ。たくさんの方が入り混じって、みんなでひとつの絵を完成させます

写真、会場の様子
こちらの方々は、市内で店舗を経営されているパン屋さん。焼きドーナツが絶品です

写真、会場の様子
車椅子の方や、その介助をする方、福祉事業に関わる方もそうでない方も一緒に過ごします。

 これは「市民福祉のつどい事業」として、1982年より尼崎市がほぼ毎年実施してきたものです。市内の福祉施設や障がいに関わる人どうしの交流などを目的に実施してきましたが、30年以上実施する中で、関わるメンバーが固定化し新たな交流が生まれにくいなど、課題も見えてきました。

 そこで、2017年度には「提案型事業委託制度」という制度を活用し、公募により民間の事業所「NPO法人月と風と」に企画運営を委託。実際に福祉に関わる事業所の視点から、事業のパワーアップを図りました。


参考(尼崎市ホームページ)


 まず新しい試みとして、開催の半年前(2017年5月)に「意見交換会(ワークショップ)」を開催。これは企画段階から様々な人に関わってもらい、どうすればこの事業がよりよく運営できるかを考えるためのしかけです。


写真、意見交換会の様子
会場は、はまようちえんと小田公民館で行いました

画像、チラシ表面
かわいらしいチラシを作成し、市内のさまざまな場所に設置しました

画像、チラシ裏面

 これまでこの事業を知らなかった人や、普段障がい者に関わることのない人なども含めて、いろんな立場の方に呼びかけた結果、およそ80名が参加。その中であることが起こりました。

 「イベントに参加する中で困ったことはありませんか?」というテーマで意見交換をしていた時のことです。一人の聴覚障害のある方が「わたしはイベントに行けばきっと困ることが起きるだろうと思って、そもそも行ったことがありません。だから困ったことはありません」と言いました。それを聞いた他の参加者、特にふだん障がいのある方と関わることのない方は「ハッ」としたそうです。

 イベントでの困りごとを話していたのに、「そうか、そもそもイベントに参加できない人がいるんだ」という新しい気づきは、頭の中だけで「障がい者支援」を考えているだけでは見えてこないことでした。

 目の前の人を「障がい者」ではなく「一人の人」ととらえ、面と向かって対話することで初めて、「障がい者と健常者の交流」が実現するという基本的なことに立ち返った運営メンバー。今後もこのような企画会議の場を設けることが、イベントの実現には不可欠だということで、定期的な「実行委員会」を開催することになりました。

 実行委員会は6月から開催までの6回、平日の夜間に開催。一回だけでも大丈夫、どなたでも参加自由と、オープンな雰囲気で広く呼びかけた結果、毎回約50人、全体で延べ300名の様々な参加者が集まりました。


写真、実行委員会の様子
聴覚障害のある寺岡さん(左)。これまで十数年にわたって市民福祉のつどい事業に関わってこられました。手話通訳の方も参加されています(右)

写真、実行委員会の様子
主婦の仁保さん(左)とヘルパーのお仕事をされている景山さん(右)

 障がいのある方や、そのご家族や支援者の方々、またそれだけではなく、なんらかの専門性を持った方や、デザイナー・ライターなど、クリエイティブなお仕事をされている方も。そうかと思うと、近隣の主婦の方や学生たちも楽しく参加しています。


写真、実行委員会の様子
毎回参加されていた佳山さん(右)。ミーツ・ザ・福祉を機につながった縁も多いようです

写真、実行委員会の様子
脳性まひという障がいのある村上さん(右から3番目)。お話しされるスピードがゆっくりなため、他の参加者は彼の話にじっと聴き入ります

 一見すると福祉の会とはわからないほど幅広い層の参加者が、企画段階から自分ごととして関わることができる。この「実行委員会」のあり方自体が、事業の目的を達成していました。


写真、実行委員会の様子
「運動会」の練習風景。メンバー一体となって、当日を迎える準備を行いました

 そんな実行委員会を経て開催した、11月11日の「ミーツ・ザ・福祉」。イベントのプロがつくりあげた「シュッとした」感じはそこにはあまりなかったかもしれませんが、福祉とは何か、障がい者支援とはどういうことを指すのか、ということを、実行委員が真摯に向き合った結果が見えるような一日になりました。

 会場には筆談をするためにホワイトボードを首から下げたスタッフをたくさん配置。また、ステージ横には要約筆記と手話通訳の方も。それだけではなく、手話をエンターテイメントにしているoioiというグループによるパフォーマンスなども実施。


写真、当日の様子

写真、当日の様子

写真、当日の様子

 「トークブース」というブースも企画。発達障害、知的障害、視覚障害など、さまざまな障がいを疑似体験できるコンテンツを提供しました。またそうしたコンテンツを楽しんで巡ることができるように「ミーツ・ザ・クエスト」というスタンプラリーも行いました。


写真、当日の様子
視覚障害のある亀山さん。企画側を体験できて貴重な機会になった、とおっしゃっていました

 まさに、みんなの尼崎大学の「みんな」が誰を指すのかを捉えなおすような企画。「ミーツ・ザ・福祉」は今年(2018年11月10日)も開催予定。実行委員会もすでにはじまっています。障がいのあるなしを越えた「みんな」が出会い、学び合える場をつくるにはどうしたらいいか、考えるきっかけにぴったりですね。


写真、当日の様子

写真、当日の様子

写真、当日の様子

写真、当日の様子

 今年のご案内はこちら。まずはワークショップ(意見交換会)からご参加ください。


画像、チラシ表面

画像、チラシ裏面

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